ファッション

The Reracs のブランド紹介

前回、The Reracsのルーズチェスターフィールドコートをご紹介しました。

今回は前回書ききれなかったThe Reracsのブランドビジネスとしての特徴を紹介したいと思います。

試着専門の店舗 The Reracs FittingHouse

参考リンク <The Reracs 公式website>

The Reracsは、当初から基本的に卸売りと自社通販で展開されていたブランドなんですが、2017年に直営店舗をオープンしています。この直営店が試着専門の店舗という、ありそうで無かった珍しいお店。通販がこれだけ発達していれば試着専門の店舗があってもいいんじゃないかと言われ続けていますが、実際にやったところってほぼ聞いたことがない。筆者が知る限りではこのThe Reracs FittingHouse以外だと2018年11月に原宿駅前にオープンしたGUの試着専門店だけ。

それくらい日本国内だと先進的な取り組みだということなんでしょうね。

場所は神宮前2丁目で、明治通りを新宿方面に進んだところにある有名なデザイナーズマンション「ビラ・ビアンカ(VILLA BIANCA)」の1階。南貴之氏が店舗の空間デザインを担当されたそうで、クラシカルなテイストも感じさせつつも白を基調とした大変スタイリッシュな、ブランドイメージそのままのような内装のお店です。

筆者も何度か利用しているのですが、ぶっちゃけ大変良いお店です。一般論としてこれだけ単価が高くてカッコつけたブランドのお店って、筆者みたいな小市民には何度行ってもなんとなくハードルが高い。買う気はないけど、何度も気兼ねなく試着だけしに行くとか、やることもあるけどもやっぱり気負うところはあるわけです。

なのですがここは最初から試着しか想定しておらず、長居して試着しまくったんだから何か買わなきゃいけないかな?みたいな後ろめたさを一切感じずに、服を手に取って眺めて試着できます。

いつ行っても混雑しておらず、正直閑散としてて、普通だとガラガラの寂しげなお店って「店員さんに張り付かれそうでやだなー」と思うこともありそうですが、ここだと逆にそれが利点です。待たされることもなく、ゆったり商品を見て試着できます。

気にいった商品があれば、型番を控えてくれて、在庫の有無と自社通販を含めた購入可能なお店を教えてくれます。

行ってみて思うのですが、試着専門店って商品を試すハードルを下げることができるので単価の高いブランドと相性が良いんでしょうね。正直、GUのような単価の安いブランドで試着だけして帰ろうとか、試すのに躊躇することってあんまり無いと思うんですよね。なので高単価のブランドの方が相性いいんじゃないかと。The Reracs以外のお値段お高めのブランドにも是非チャレンジして欲しい試みです。

むしろそうして欲しい。服の楽しみ方が広がりますからね。

一般顧客を招待したAmazon Fasion week での Runway show

The Reracsは2019年3月にAmazon Fasion week(いわゆる東京コレクション)で19AWコレクションを初めてのランウェイ形式で発表しているのですが、特徴的なのは一般顧客もこのランウェイに招待していること。筆者も呼んでいただけたので行きました。ちなみに筆者はアパレル業界とは何の接点もない只の電子機器メーカーの会社員ですから、The Reracsから見れば本当に只の消費者の一人です。しかもそんなにヘビーユーザーではありません。嫁さんと自分のコートをそれぞれ一着と自分のTシャツを一枚買った程度のライトなユーザーです。

そんなライトな一般顧客をショーに招待するってこれまで聞いたことも無かったので、何を意図しているんだろうと考えつつデザイナーとブランド代表のインタビューを読んだら、こんなことを仰ってるんですね。

参考リンク <WWD掲載 the Reracs デザイナー&代表 インタビュー>  ”倉橋直行:ショーで何もかも拡大しようとは思っていないですね。ただ、今後はランウエイショーが必要な時代がふたたび来るんじゃないかなと感じています。ショーに価値を見出さないブランドも増えている一方で、パリやミラノでコレクションを発表しつつ、いつもと違うロケーションでショーを行うブランドも出てきている。表現やPRの方法が過激化しているんだと思います。そのような状況下では、SNSでも分かりやすいように、表現やPRをどんどん過激化させて目立とうという流れもあるけれど、そういう方向を選ばないなら今いるお客さまたちに対して深く刺さるような体験を提供できないと、ブランドとして成立できない。そういう意味でショーを行うことが、最先端なことになるのかな、と。”

なんとなく分かるような分からないような。筆者の解釈ですが、要は顧客にRoyaltyを高めてもらうためのプロモーションの一環という話なのかなと思いますね。ファンイベントみたいな。普通はファッションショーって取引先を増やすことを目的にやるものなんでしょうけども、そうじゃなくて今いるお客さんにサービスとして特別な体験をしてもらってより深くブランドを好きになってもらおうという、単純に言ってしまうとそういうことなのかなと思います。

事実、呼ばれてノコノコと出席した筆者はすっかり術中にハマりまして、ファンになっちゃいました。SNSでモデルやインフルエンサーを使ってPRとか、デザイナー自身が表に出て顧客と交流するとか、色々とファンを作る方法ってあると思います。そういう手法ではなくファッションショーなんていうある意味古臭いような、クラシックな場と手法で一般顧客と交流するというのは逆に新しい。他では聞いたことありません。しっかりと作り込まれた本格的なランウェイショーなんてものを一般の人が見る機会って基本的に無いので、非日常感が半端ない。そりゃあプロモーションとしては効果絶大でしょう。初めてそんなもん見た筆者の感想としては、まあ感動しましたね。空間演出やBGMも含めて、とにかくかっこよかった(月並みな感想ですみません。。)。

インスタでショーをライブ中継しているブランドもありますが、やっぱり実際に生でみるライブ感は格別なもの。実際に足を運ばなければいけないので地理的に出席できる人は限られるとは思いますが、小規模なブランドだからこその取り組みなのかもしれません。

ネットであらゆる情報がとれて、バーチャルでたくさんの人と繋がれる今だからこそライブに価値がある時代だと言われていますが、ファッションブランドが分かりやすく提供できるライブイベントの一つがファッションショーっていうとなんでしょう。そういう意味を持たせたファッションショーって確かに他ではやっていない最先端なことかもしれません。

アパレルブランドが展開する、モノづくり以外の新たな取り組み

これらの取り組みが上手くいっているからなのか、理由は定かではないのですが、取り扱い店も増えて露出も増えているように感じますし、公式通販では主要アイテムが既に売り切れていて外から見る分にはビジネスは好調な様子です。

The Reracsが行っている試着専門店やランウェイへの一般顧客の招待といったような試みは、おそらく結構な額の投資が必要だと思うので、どのブランドでもやれることでは無いんでしょう。しかしファッションを文化として楽しむために、こういったブランド側からのモノづくり以外での提案というのはいち消費者として大いに歓迎したいと思います。単純に面白いことはいっぱいやって欲しいなと。

ちなみに10月末の20SSのランウェイショーにも呼んでいただけているので、またこのブログでレポートしたいと思います。

ではでは。

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