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KIRINの早期退職者募集のニュースを見て思った話

先日下記の記事を見つけました。大変興味深かったので今日はこちらの解説と、この話を踏まえて筆者の周囲を見渡した時の感想を書きます。

(参考リンク)キリンが早期退職を実施、過去最高益なのにリストラ着手の裏事情

(ダイヤモンドオンライン 2019年9月27日)

業績好調な企業が早期退職者を募集

キリンといったら誰もが知る大手飲料メーカーですが、2018年12月期決算で過去最高益を達成しています。足元の業績が好調な大企業が人員削減をするというのはインパクトがありますね。従来は赤字続きの会社が仕方なく早期退職募集等のリストラを実施するケースが一般的だったように思いますし、筆者の勤める会社でも同様でした。

しかし、近年は赤字ではない会社が先行実施的に早期退職を行うケースが増加傾向にあるようです。

今回のキリンのケースでは、45歳以上の社員が対象とのことで、ターゲットはバブル入社組であろうとのこと。背景を簡単にまとめると、

①ビジネスで勝つために現場の若返りが急務であり、そのための投資という位置づけ。実施には割増退職金を積む必要があるのでキャッシュに余裕のあるうちにやる。
②今後は定年延長と高齢者の再雇用を実質的に義務化していく流れなので、バブル世代が高齢化する前に人数を減らしておきたい。

とのこと。

負債化する高齢社員?

筆者なりに解釈すると、要はバブル世代が負債化する前に手を打っておくということなんでしょう。

①は古いビジネススキルしか持たないので近々負債化する(むしろもうそうなっている!?)という話。

②はそれに加えて国の方針で負債を押し付けられることが目に見えているので、今のうちに防衛しておこうという発想。社会保険料の負担も増える一方でしょうし。

彼らが負債化することが事実なのであれば、これは的確な経営判断でしょう。ってか負債が発生することが分かっているなら、手を打たない方がおかしいくらいの話です。むしろ何とかして今のうちに損失を計上しておけよと言いたいくらい。(さすがに無理だけど。)

しかしそれは彼らが負債化する可能性が高いと分かっていることが前提の話。

「いやいや!社員は『人財』でしょう!人間を負債扱いするなんて言語道断!けしからん!」という意見があっても良いはず。

どうでしょう?皆さんどう思いますか?実際のところ負債化するのか、そうではないのか。

ここが論点かなと思います。

しかし「会社を辞めてもらうのが将来に向けての投資だ」って冷静に考えると凄い話ですね。前向きに考えるとやめてもらうのが最善って、どんだけー。

汗をかけない大企業社員

いち会社員の筆者が職場で周囲を見渡したときの意見としては、「既に負債化しているおっさんおばはんが山ほどいる」です。

筆者の会社は一時期社員の40%が管理職(部下無し管理職含む)という、何の冗談だ?みたいな時期がありまして、その後人事制度改革とか役職定年制度とか色々四苦八苦して制度改革をやった結果、数字上は管理職20%未満(たぶんそれくらい)の会社になりました。20%ってそれでも多いですけど、一応強制的に形だけは整えたということです。

しかし、形は整っても内実はなかなか理想通りにはいかないもので、「この人何してる人?」みたいなおっさんは時間が経つにつれて、むしろ増えているように思えます。

 働いたら負けだと思ってますくらいの勢いで絶対仕事しない人、

 年下の上司の指示に公然とNoと言う人、

 会議で評論家をやっていれば仕事した気になっている人、

 重箱の隅をつついて仕事した気になっている人、

 本来自分でプランニングしなきゃいけない立場なのに言われたことしかやらない人、

色んなおっさんがいますけど、総じて自分で手を動かさない、汗をかかない人達です。そんな人も部に一人とかであれば目立つので本人も居づらさを感じると思うんですが、時間が経つごとに年齢を重ねる人は増えるわけで、そういう汗をかかない人達も2人、3人と増えてくるんですよね。更にそういう人達がつるんで勢力を形成するようになると本人も麻痺してくるし、上も対応しづらくなってくるんでしょうね。

しかしまあ当たり前の話としてそんな人達がいても業務は無くならないし、しわ寄せは真っ当に汗をかいて働いている人達にくるわけです。

そしてこういう人達って年功序列の賃金体系がある程度維持されている日本の企業では、やっぱり多めのお給料をもらっているわけで、必死に働いている中堅、若手社員が彼らを見てモチベーションを下げ、エンゲージメントを下げるという負のスパイラルが起こっている、というのが現場にいる筆者の感覚です。

働かない人がいれば全体の生産性が下がるのは当たり前

日本の生産性が低いと言われて久しいですが、それって効率の悪さ云々ではなくてこういう話が主因なんじゃないの?と思います。職場によって強弱はあれど、現代日本の縮図ってこうなんじゃないかなーと思いますが皆さんの周囲はどうでしょう?

でもね、やる気のないおっさんが悪者かというとそうでもない気がするのです。

彼らのやっていることって、「投入する労力を最小限に抑えて、成果(給料)を極大化させる」というビジネスとして考えればまことに正しいことをやっていますよね。感情を抜きにして考えれば、「指名解雇できない」「簡単には給料は下げられない」という終身雇用をベースとした日本の雇用の枠組みの中では最善の戦略をとっているわけです。

であればこれはもうおっさんが悪いんじゃなくて制度が悪いんじゃないの?だって働かない方が得するような制度になってるんだから。日本は世界で唯一の上手くいった社会主義国家であるとは、良く言ったもんだなと。

しかしですよ、余計なお世話でしょうけども、30年近くキャリアを重ねた職場で負債扱いされるって、幸せな人生なんでしょうか。負債扱いされて、年下からは煙たがられながら何年も会社にしがみつく時間をどんな気持ちで過ごしているんでしょうか。想像でしかありませんが、まともな神経であれば健全な気持ちでは過ごせないでしょうね。気持ちが荒む人も増えるでしょう。だからなのか、そういう人達とは健全な仕事の話ってなかなかできないことが多いです。

首切れば万事オッケー!みたいな極論を言うつもりはありません。ただ明らかに機能していないが枠組みだけは厳然として存在する終身雇用という縛りの中でなんとか辻褄合わせながらやってきている日本の企業ですが、戦略投資として人員削減を行うという話を見ると、ついにここまで来たか、、と考えさせられます。

前向きな職場と社会

筆者には1歳の子供がいます。今回要するにこれが言いたかっただけなんですが、自分のこと、まあなんとかできますよ。でも1歳の子供が働く年齢になったときに、日本の会社や職場がどうなっているのか、と考えずにはいられません。

これからの子供の教育やキャリアを考えたとき、子供に向かって「いっぱい勉強していい大学入っていい会社に入れば万事オッケーだから!」などと言い切れる予感も全くしません。

10年後~20年後は、こんな問題はとっくの昔に克服して活力ある社会になっているのか、まだ戦後日本のレガシーを引きずってグズグズやっている社会なのか。

前者であってくれることを願うばかりですし、父親としてできることは全てやらなきゃなと思わずにはいられません。

ではでは。

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