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5G(第5世代移動通信システム)の用途の話

最近よく目にするようになってきた5G(ファイブジー)っていう単語。今のスマホの通信に使われている4G LTEの次の世代の通信規格のことなんですが、今日はその5Gの使われ方の話を紹介しつつ、思ったことを書きたいと思います。

通信業界の最前線の現場で5Gにたずさわっている人のお話を聞く機会が多くありまして、それを私なりに理解して咀嚼した内容を解説します。と言っても情報自体は公になってるもので、それらをつなぎ合わせて分かりやすくしたような内容です。

5Gって何?っていうか何がどう変わるの?何の役に立つの?と思っている方、ご一読ください。未来の生活を変える凄い技術のように言われていますが、果たして本当なのか?考えるための一助になればと思います。

そもそも5Gって?

3Gや4Gの次の世代の通信規格として世界各国で導入が進められている通信技術で、ミリ波と呼ばれる非常に波長の短い電波を使った通信技術です。専門的な技術の詳細はここでは語りません(語れません)が、その特徴は下記の3つであるとされています。

この話、軽くググっても専門的な話が多くてわかりづらいんですよね。。なのでできるだけ簡単に書きます。

①超高速大容量。要は今使われている3Gや4Gより早くなり、重いデータの送受信が早くなります。youtubeの読み込みとかが早くなって快適になる、という理解でOKです。今できることの利便性がより高まるという話です。

②多数接続が可能。基地局一つで接続できる端末の数には限界があるんですが、それが100倍以上増える。実験中の話でもあるので正確な数は諸説あるようですが、2桁くらいは増えるそう。年始とか緊急時とか、全然携帯がつながらないタイミングがありますよね?あれって同時接続の限界を超えて使われて電波がいっぱいいっぱいになって詰まっちゃって動きが悪くなってるわけです。そういう話が無くなります、というか緩和されます。

③超低遅延。これ分かりづらいんですが、例えばTVの中継(台風とかの災害時とか海外の現場からの中継みたいな)ってワンテンポ遅れて会話してたり、こっちの話が遅れて伝わっていたりしますよね。あれが遅延なんですが、それが無くなります。地球の裏側にいても遅延無しの、すぐ近くにいるかのようにリアルタイムで通信できます。

夢が広がる使われ方?

これだけ聞くと色んな使われ方を想像しちゃいますよね。今できることをより早く快適にできるだけでなく、特に③の特徴があれば地球の裏側から外科手術のロボットを遠隔操作できたり、オフィスから海外にある工事現場の重機を操作したり、日本に居ながら北極でドローンを操作したり、深海の探査船を操作したり。

しかし技術ってのは魔法じゃないので、できることとできないことがあります。

5Gの制約

そのできないこと、というか制約みたいな話が大きく言って2つあります。

①直進性が強い。つまり強すぎて曲がれない、真っすぐにしか進めない。どういうことかというと普通は街で歩きながら電話してて角を曲っても通話を続けられますよね?でも5Gだと、切れます。電波が曲がれないから。はい?なにそれ?想像すると面白いんですが本当の話。そうすると電波の中継地点を街中の角という角に設置して電波を繋いでやらないと使えません。

②透過性が悪い。ってかほぼ透過しない。当たり前ですが携帯って家の中でも使えますよね、Wifiつながってなくても。3Gや4Gの電波は家の壁を透過してくれるから家の中でも使えるわけです。でも5Gだと透過せず、壁にあたると跳ね返ってどっかいってしまいます。ちなみに水も透過できません。ちょっと水に入るとアウトです。まじで?弱っ(笑)。

真っ直ぐにしか進まず、壁も透過しないって冗談みたいに聞こえますが本当の話。ということは室内での使用はほぼ絶望的なんじゃないの?至るところに中継局を設置するとかめっちゃ金かかりそうだし、3Gとか4Gみたいに使うのって無理なんじゃないの?と思いますよね。概ねその通りです。

じゃあ何に使えるの?というか何に使うつもりなの?

と思うじゃないですか。国家予算もいっぱい使って技術開発してるわけだし、明確な用途くらい考えてるんでしょ?と。誤解を恐れず言うと、実は使い道はよく分からん、ってのが本音っぽいです。

実際、総務省(通信事業を仕切ってる国のお役所は総務省)は下記のようなイベントを開催してます。

www.soumu.go.jp

総務省の敷地内で開催されたイベントで、身も蓋もないこと言ってしまえばこれ明確な使い道が分からんから募集してるって話ですからね。恥も外聞もある意味捨ててる感がにじみ出てて、相当追い込まれてんなー、と想像つきます。

直進しかしなくて壁を透過しない電波が使える場所ってどこだと思います?遮蔽物がなくて広々した空間ってことですから、ゴルフ場とか競技場とかライブ会場とか室内ならドームみたいな施設とか、そういうところになります。もしくは荒野とか砂漠とか何も無い場所とか。ドローンか何かで上空から電波を飛ばせば山とか、広い工場内でも使えそうです。

あれ?もしかしてかなり限定的?日常生活で使う様子が想像できない。。

上記の総務省コンテストの結果もだいたいそういう内容です。個々のアイデアは良いものだと思うのですが、どうでしょう?ちょっと限定的過ぎるというか小粒に感じませんか?

さっき街中では中継地点を至る所に設置しないと使えないと書きましたが、実際キャリア(NTTとかKDDIとかSoftbankとか、携帯事業をやってる会社)はそんな設備投資をやるつもりはなく、もっと上流の設備投資に専念するそうです。じゃあ誰が設置するのかというと、街中に自腹で中継地点を設置する事業者なんかいるはずもないわけです。使い方もよくわかっていない技術だし。実現しそうな話は、ドーム球場等の施設を運営している事業者に技術提供しつつ、その箱の中というか事業を行う範囲内で使うための設備投資は事業者側が行う、という話くらいしかありません。

札幌ドームにおけるプロ野球のARスポーツ観戦の実証実験に成功 | 2018年 | KDDI株式会社

海外ではどうなの?とっても便利な使い方をみんな考えてるの?

機密になってる話も当然あると思いますが、日本と同じであんまり無さそうです。というかそんな良い使い方があればとっくにアイデアをパクってるでしょう。

この5Gをどうやって使う?という課題は世界的に課題とされていて、実は5Gってあんまり有用ではなくて、本命は更に次世代の6Gなんじゃねーの?と言われていたりします。

「5Gで面白いのは、何が起きるか誰にも分からないことだ」(米国 連邦通信委員会議長)

(;´д`)えええ、まだどうなるか分からんと言い切ってるよ。

「各事業者は同じようなことを言っているが、5Gに関してはいまだにピンとくるサービスがない。かつて3Gが出てきた時も、5Gと同じく『大容量』『低遅延』などと騒がれたが、結局ユーザーに指示されたのは『eメール』『着うた』などのシンプルなサービス。4Gもスマホ向けの通信サービスとして広がった。5Gも(先進的な)イメージが先行しているが、わずかな容量でユーザーの心に響くサービスを生み出したい。」(KDDI 高橋社長@Netflixとの提携会見)

これとか分かりやすい(*´∀`)社長さんええこというやん。3Gのときって(DocomoのFOMAとかの時代)、テレビ電話できますー、とかユピキタス社会で便利にーみたいな宣伝をしてたのを覚えてませんか?大風呂敷広げて宣伝してたけど、結局ユーザーに大きく支持されたのは『着うた』とか『写メールを送れる』とか、そういう何気ない日常生活を豊かにするサービスだったわけです。

世界中で競争している5Gの開発と設備投資を今更止めるわけにもいかないし、おじさん達は仕事を作らなきゃいけないし、兆円単位のお金を突っ込まなきゃいけない世界で、小さなサービスの話をしてたんでは巨大企業の中では通る話も通らないから、大義名分として認められるように、できるだけ風呂敷をでかくしないといけないっていう大企業のサラリーマン的な理屈は良く分かります。大義名分が無ければでっかい組織は動きません。(逆に言えば大義名分さえあれば動きます。)

おっさんも大変なんやで。

ただまあ、そういう利用者の目線に立ってるようで立ってない、開発投資を進めるための大義名分のために作ってるようなサービスは普及しないでしょう。多少使われても数量が無いし、数が使われなければ安くならないし、安くならないと普及しません。

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以上、5Gについての解説でした。これは2019年9月時点での話です。

誰も思いつかなかったようなサービスが生まれて私達の生活が変わるのか、日本の未来がどうなるのか、よーく見ておきましょう。

使い方がまだ分からないってことは、逆に言えばアイデア次第でチャンスはあるって話です。もしこんな使い方やこんな未来ってどうだろうと思いつくことがあれば、発信してみるのも良いかなと思います。

ではでは。

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