前回、2050年の世界の中間所得層はインドと中国で50%を占め、世界経済の中心地がアジアに移っていくという話をしました。
2050年時点での世界の人口が約100億人になると予想されています。そのうち中間所得層の人口今の何倍くらいになるのか?というと、良さそうな資料が見つからなかったのですが、だいたい1.5倍くらいになるようです。これって2050年に急に1.5倍になるという話ではなく、現在進行形で増え続けているということ。
何が良いたいかというと、比較的豊かで暇な人(余暇があって遊びに使えるお金を持っている人)が増えている、ということ。
そうするとどうなるかというと、
①美味しいものがものが食べたい
②旅行に行きたい
③遊びたい
④良いものを持ちたい
という人達が年間1億人レベルで増え続けているということです。
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余暇と遊びに使うお金がある人は何を欲するか?
①美味しいものが食べたい、は分かりやすい。ってか当たり前ですよね。日本人だって評判の良い美味しいものを食べに行くとか日常的にやっていることです。そう思う人が凄い勢いで増えているので多くの良質な食糧の需要が急増していて、食料価格が急騰しています。身近な食料品が値上げされているのは記憶に新しいですし、日本の領海に中国漁船が大挙して押し寄せていて問題になっていたり、海産資源の枯渇が深刻になってきているのはそういう背景があるからです。人は豊かになれば美味しいものが食べたくなるということ。インドや中国も飽食の時代に入っているということですね。
②の旅行に行きたいってのも、当たり前の話でしょう。日本人だってみんな海外旅行行きたいでしょ?周りを見渡せば、最近どこに行っても外国人旅行客がたくさんいます。豊かなアジア人が増えるのでこれからもっともっと旅行客は増えます。だから日本のビジネスチャンスはこれから増えるし、旅行客を増やしていかなきゃいけないと政府も必死になっているわけです。
③の遊びたい、ですが遊びと言っても色々な種類があると思いますが、比較的身近なものを挙げると、スポーツやゲームでしょうか。世界的なeSports市場の拡大は言うに及ばず、日本でもプロスポーツの整備が進んでいますし、スポーツをやる人が世界的に爆発的に増えていくので、もしかしたらサッカーの中心地がヨーロッパからアジアに移るなんてこともあり得るのかもしれません。それにしても今プレーされている人気スポーツのほとんどがイギリス発祥だと思うと、大英帝国って偉大だったんだなって改めて思います。今後のスポーツ文化の隆盛の中で改めて英国のプレゼンスが上がってくるなんてこともあるのかもしれません。
④の良いものを持ちたい、ですがこれは洋服なんかが分かりやすいですね。人間豊かになれば良いもの着たいと思うわけで、ウールの原材料価格が上がっている背景は、こういう豊かな人が急増して洋服の需要が増えていることが要因。
そして今日の話でフォーカスしたいのはこの④の良いものが持ちたい、の話。
スニーカーショップのお客さんがほとんど外国人
最近、銀座や青山、表参道等のブランドショップに行くと、外国人のお客さんが凄く多くいるのですが、よくよく見てみると「どこもかしこも外人さんが多い」というわけでは無いことに気づきます。
一番「多いな」と感じるのはスニーカーショップ。Nikeやadidasの路面店や、スニーカーを多くおいてあるY3なんかに行くと日本人なんかほとんどいなくて外人さんばっかり。ここって日本だよね?って思うくらい。不思議じゃないですか?Nikeやadidasのスニーカーとか、別に日本で買わなくても中国でも現地で普通に買えるのに。偽物買わされるのが怖いから自国で買いたくないとか?色々考えるものの、良く分からない。なので会社の仕事で香港に出張したときに現地の同僚に聞いてみたんですよ。その同僚も娘さんとよく日本へ旅行に行ってスニーカーを買うって言うから、なんで?って。香港で買えるのになんでわざわざ日本で買うの?って。
香港のオフィス街を見渡すと、カジュアルな服装に高そうなハイテクスニーカー履いてる人が大勢います。ってかそういう格好の人がメインじゃね?ってくらい大勢います。世界的なスニーカーブームの時期だってこともあるんでしょうけど、それでも多いなと感じるくらい。だから香港の街中でも普通に売ってますよ、スニーカー。当たり前ですよね。なのに何でわざわざ日本で買うのか?持って買えるのにもかさばるでしょうし。
そしたら・日本限定のモデルがあるから・日本の方が安く買えるから、と言われてちょっとびっくり。
日本限定のモデルってのはまあ分かる。欲しい人はいるでしょうし、わざわざ外国旅行へ行って買うモチベーションになりそうな話。でも日本の方が安いってのが、そうなんだ、とちょっと衝撃。免税にいなるから安い、というだけではなく税抜き価格がそもそも安いらしい。要は日本は物価が安くなってるんですよね。筆者が世間知らずなだけでしょうけど、デフレが続いたってのはそういうことで、今や日本は貧しくなっているんだって気付いて妙に納得しました。
外国人が多く訪れるブランドショップ
他にも外国人が多いなと感じるショップは色々あるんですが、めちゃめちゃ顕著なのがコムデギャルソン。昔から多かったとは思うんですが、以前は明らかにファッション関係者っぽいアバンギャルドな格好の人とか、買い付けに来てます的な空気感の人が多かったと思うんですが、最近は普通っぽい家族で来てるのを見ることが多い。明らかに外国人のファッショナブルな人達が行列作ってTシャツ買ってたりします。デザイナーズブランドと一口で言っても色々ありますが、他ではあんまり見ない光景です。さすがはギャルソン。
銀座のドーバーストリートマーケットとか、もう明らかに外人さんばっかり。ここもしょっちゅう行列作ってますね。他にもY3とかBAOBAOも顕著に外国人のお客さんが多いですね。
そもそもインバウンド需要自体が増えているので、外人のお客さんが多くて当たり前なんでしょうけど、ここまで顕著なブランドはある程度限られているように見えます。
大金をかけて来ている海外旅行先で、わざわざ訪れてものを買いに来る人がたくさんいるって凄いことです。クリエーションが世界的に認められて、マーケティングに成功している有名なデザイナーズブランドだからファンが世界中にいるってことなんでしょうけど、川久保玲、山本耀司、三宅一生がどれだけ凄い人達なのか、外国人のリアルな購買行動というフィルターを通してみると改めてよく分かります。
これも、外国で買うと関税がかかるし、かなり高額になってしまうから日本のお店で試着して確かめながらながら買えるからという経済的な話も理由の一つなんでしょうけど、そもそも高額な商品ですから、価値があると強く思っていないとわざわざ行かないですよね。
しかもこういうブランドの価値は歴史が支えているというか、長く支持され続けていることが信用を生み、時間をかけて醸成されている部分が大きい。そもそもブランドってそういうものです。時間をかけないと出来ないことなので、ぽっと出のブランドには不可能な芸当で、「簡単に増やせるものではない」ということです。
冒頭の話に戻りますが、その一方で「そういうものを欲しいと思う人」は凄い勢いで増えています。「増やせない」けど「欲しい人が増えている」って超美味しい状態です。一般的な商売の理屈として「足りてない」ってことは棚に置けば売れていく状態ってこと。(そして調子に乗って拡大させたものの、ピークアウトしてから膨れ上がった固定費で身動きとれなくなるのが日本企業のパターンだったりしますが。)
だからなのか、コムデギャルソンのショップが色んなところで増殖してますね。
増やすのが難しいけど欲しい人が増えるものって?
その「簡単には増やせないけど、欲しい人が増えるもの」って他に何があるんだろう?と考えると今後の世の中が見えてくる気がするのは筆者だけ?
ちょっと長くなっちゃったので次回に続きます。