今回の投稿は、以前書いたこちらの記事の続き。今後の日本社会がどうなるのか、について考えたことをまとめました。
Contents
10年後の未来の日本はどうなっている?
少々長文ですが、
- 10年後の未来の日本がどうなっているのか?
- 10年後はどういう環境で、どういう働き方をしているのか?
そういう話に興味のある方に是非読んでいただきたい話になっています。色々なところで語られている話を分析して、分かりやすくまとめた内容です。お付き合いいただけるとありがたいです。
1.10年後の “居場所” は会社から地域へ
おじさんの居場所が無くなる?今後は会社が提供しているコミュニティ形成の機能が弱っていく
実感している人も多いと思いますが、昨今若い世代を中心に横のつながりを求める価値観が強まってきています。というか横のつながりを求める以前に、上下関係のような縦のつながりを積極的に求めるような気分でもないといいますか。普通にめんどくさいですからね。上下関係なんか最小限でいいよって思ってる人が多いでしょう。横のつながりが充実してるに越したことは無いと。
で、横のつながりと言っても、現在顕著なのは趣味を中心とした集まりですが、SNSの発達によってそういったコミュニティを作ることは格段に容易にできるようになっています。しかし必ずしもみんなそういったコミュニティを持っているかというと、そうでもないと思います。
そもそも今の日本社会では、会社が社会に対してコミュニティ形成の機能を提供する役割を果たしていて、依然として大きなポジションを占めています。とりあえず会社に行けば話し相手がいて自分の居場所があって、会社帰りに一緒に飲みに行ける同僚がいるという、サラリーマンのおじさんにとっては大変ありがたいコミュニティを会社が提供しているってことです。今はまだその会社が提供するコミュニティが機能しているから、社外で集まれる仲間って言っても学生時代の友達くらいって人が大多数でしょう。
しかし、会社(と日本社会)の成長が頭打ちになってリストラも進展して、現役生活をずっと同じ会社で過ごす時代でもなくなってきており、安易に会社に居心地を見出すのも難しくなってきています。
つまり徐々に会社が提供するコミュニティが機能しづらくなってきていて、若い世代を中心にそんな機能不全のコミュニティに魅力を感じなくなってきています。帰りに上司と飲みに行くとかありえないし、付き合い残業とかもっとあり得ないって話。
更にテレワークによる在宅勤務やフリーランスで働く人が増えると、そもそもオフィスに行く必要が無くなるので、コミュニティとしての会社の意味がどんどん加速度的に薄くなっていきます。
そうすると今まで会社に居場所を見出していた、むしろ会社にしか居場所が無かったようなおじさん達は凄く困るわけです。居場所がなくなってしまい、孤独に悩まされることになっちゃう。そういう孤独な人達が増えることが、10年後の社会課題になると予測できます。

存在感と力を増す地域コミュニティとそれによる社会課題への対処
そうするとその解決策として地域コミュニティの必要性が増します。今までと違ってずっと会社に居るわけでは無く、家や地元地域にいる時間が長くなりますから、そこで居場所を見出す必要が出てきます。
そして地域に居場所を作るためにはその地域の役に立つことが求められます。役に立つというのは、地域の活性化等の今まで人手が無くて対応できなかった地域の抱える課題にボランティア的に取り組むイメージです。
そういったことを会社のノリでやるのは難しいところはあると思いますが、第一線の現場で働いてきた優秀なおっさん達が上手く地域の課題解決にあたることができれば、間違いなく良い方向に進むでしょう。
普通に考えてこういう流れで社会課題が解決されて、みんな幸せな豊かな社会になるってのは物凄く素晴らしいことなんですが、これが内閣府と経団連の提唱しているSociety 5.0ということなんでしょう。
この方向に進むには、会社のコミュニティ形成機能が役目を終えるのと並行して、AI/IoT/ロボティクス/ビッグデータの利活用というテクノロジーによる生産性の向上が必須です。
2.日本だけじゃない!世界的な人手不足と変わる働き方
世界的な人手不足が今後10年で加速度的に進む
更にこの流れを後押しするのが人手不足。2030年には世界的に人手不足が深刻化し、“人的資源を企業が共有する” 状況になると予測されています。この世界的な人手不足というのは今後の世界の在り方を決定づける重要な要素です。
日本でも既にそういう状況になりつつあり、テクノロジーの後押しによって物理的に職場へ行く必要がなくなり、独立や起業のためのコストの低下も相まって、現在の日本社会では大きな意味を持つ ”正社員という身分” が意味を成さなくなります。
人手不足とテクノロジーの発達によって働き方の多様化が進む
人手不足がどんどん進んで人的資源を企業が共有するような状況になってくれば、兼業や複数の企業にサービスを提供するフリーランス的な働き方も普通になってくるし、年齢的な制限も無くなり、高齢者や子育て中の女性といった人達の労働が可能になり、多様な働き方が当たり前になっていきます。
会社側に、定年したから、高齢だから、子育て中だから、なんて話で選り好みしている余裕がなくなり、スキルがある人には働いて欲しいとオファーしないと、仕事が回らなくなるということです。
そうなってくると、そういう多様な働き方をサポートするシェアオフィスとか、待遇や労働条件の会社との交渉を代行してくれるサービス等の需要は増えるでしょう。
カフェで働くノマドワーカーって今は都心で多く見かけますが、10年後にはむしろ郊外でこそ多く見かける光景になるでしょうし、郊外のワークスペースが必要とされる設備になると予測できます。
個人的にはVR技術に期待したい。ヘッドセットをかぶれば臨場感のある会議ができるんだったら、ほんとに会社行く必要無いなーと思うので。
3.収入格差は拡大&生涯学習と信用が重要に
出来る人には仕事が集中し、できない人には仕事は来ない
ここまでの話だと良い話ばっかりに聞こえます。
しかし仕事に関しては、正社員として会社に所属し、職場に行けば何かしら仕事をふってもらえる、使ってもらえるという状況では無くなるので、よりシンプルにスキルと質を重視されるようになります。
そうするとできる人のところに仕事は集中しますから競争はより厳しくなり、収入の格差はおそらく拡大します。みんな平等ってわけにはいかないでしょう。誰もできない人にお金を払って仕事して欲しくはないですからね。
今の正社員制度であれば、できない人にも仕事をふらないとパワハラだなんだと騒がれますし、仕事の質以外にしがらみがありますが、フリーランスに依頼する仕事であればそんな話は関係無いですから。
そうなると、社会人でも新たなスキルアップのために学校に通うとか、学びなおす必要性が増します。生涯学習が当たり前の時代になる。そうすると必然的に学生時代に身に着けた知識だけでは太刀打ちできなくなるので、学生の勉強も”学び方を身に着ける””勉強の仕方を身に着ける”という意味合いが強くなってくると思われます。
“信用力” が収入に直結するようになる
仕事ができる人に仕事を頼みたいってのは当たり前の話なんですが、そもそも “仕事ができる” というのはどういうことなのか?これって凄く難しい問題で、社会人なら誰しも想像できると思いますが、人の評価が評価する人によって全く違ったものになるなんてことは良くある話です。
だから今でも人を採用するときには “信用できる人からの紹介” が一番間違いがなかったりします。
多種多様な働き方が浸透すればするほど、”人”の見極めが難しくなり、“信用” というアナログな情報の重要性が増します。
仕事が出来る人のところには仕事が集中する、というのは “信用力のある人のところには仕事が集中する” と言い換えても良い。従って過去の仕事ぶりと評判のみならず、学歴も含めたキャリアが、これまで以上に重要視されるようになるでしょう。

4.多様な自分を持つのが当たり前の時代に
大雑把に書きましたが、10年後にはもう正社員として会社にしがみつくだけだと、色々と苦しい時代になるということです。
多くの人が会社にべったりってわけにはいかなくなるでしょう。
職業人としての自分、地域コミュニティの一員としての自分、趣味のコミュニティに属する自分、家庭での自分、というように複数のコミュニティで自分の居場所を見出す必要に迫られるという、そういうのが楽しい人には楽しく感じられるけど、苦手な人にはある意味厳しい時代になるのかもしれません。
5.変わる日本の駅前の景色
今までのポイントを踏まえて10年後の日本の風景を想像してみます。
役割を終えた百貨店、銀行、証券会社がシェアオフィス空間へ
まずフリーランスや遠隔で働く人が増えて地元で過ごす時間が増えると言っても、必ずしも自宅で働く人だけではないはず。小さい子供が居たりすると仕事どころではないでしょうし、自宅だと通信インフラも不十分な場合もある。なので郊外の駅前等、アクセスし易い場所にそういった人達が利用できるシェアオフィスや通信環境の整ったカフェなんかが増えると考えられます。
それらを作る場所は現在駅前にある銀行や証券会社の店舗兼オフィスが有力候補でしょう。あとは百貨店とか。シャッター街と化している商店街とかも有力かもしれません。社会的役割を終えている、あるいはこれから終えることが確実視されている”昔は幅を利かせてた”系の箱が有力です。
(ちなみに昔からある銀行や証券会社は、今は駅前の一等地にオフィスを構えているところが多いですが、ネットバンクやネット証券が今後一気に浸透して人間が対面で接客する”窓口”が必要無くなるため、こういった駅前店舗の整理を進めています。)
地方では今駅前にあるこれらの店舗が無くなっていくことで、駅前がますます閑散としてしまうことが強く不安視されているので、そういう新しい社会の呼び水になるような健全な使われ方って基本的には賛成されるんじゃないかと思います。保育園を一体化させた施設とかにしてくれると助かる人はいっぱいいると思いますし。
早く変われた街は活気を取り戻していく
地権者がいっぱいいたり、税法上の問題や、家賃が高すぎてマネタイズが難しいとか色々問題はあると思いますが、そういう問題をいち早く解いて新陳代謝ができたところに人が集まり、活気を取り戻せるんでしょう。
休日の昼間でもお客さんがいなくて閑散としてる百貨店とか、23区内でも今や普通にありますよね。特にアパレルのエリアとか、お客さんが一人もいなくて怖いくらい。そういう場所で服見ようとか思います?ちょっと通りがかろうもんなら販売員さんが凄い勢いで群がってきそうなところで。筆者は絶対イヤです。
大きなお世話でしょうけど、そんな状況で収益はどうなっているのでしょう?どう見ても儲かっているようには思えないのですが。というか駅前の一等地に居座っておきながら人を集められない(≒社会のマジョリティーの役に立っていない)、生産性最悪の設備って、極論かもしれないですけど、ほとんど社会悪なんじゃないかとすら思いますね。
シェアオフィスの運営や労働需給のマッチングは重要なビジネスになる
繰り返しになりますが、シェアオフィスで働く方達の労働環境を物理的に整えたり、フリーランスの方達と企業の労働需給のマッチングをしたり、社会保障や保険の交渉を行ったりと、そういうサポートは今後重要なビジネスになります。
6.日本の会社で全国転勤や海外赴任をする人は特別な存在に
フリーランスや遠隔勤務が増えて”正社員身分”であることのメリットが薄くなるということは、全国転勤や海外赴任を強いられることも少なくなると考えられます。
個人にとってメリットの無い全国転勤有りの雇用スタイルは成り立たなくなる
全国転勤とか海外赴任って、キャリアになるからと望んで行く人もいますけど(特に海外赴任は)、幹部ならまだしも一般社員まで強いられるというのは終身雇用とのバーターという側面が強い。定年まで面倒みてもらう代わりに、私生活を犠牲にしても会社の都合に合わせますよ、という話ですから。
しかし、終身雇用(と年功序列)が成り立たなくなると当然私生活を犠牲にするメリットはなくなります。ポストも増やせない(むしろ減る方向)中で会社が終身雇用以外のメリット(例えば金銭的なメリットやポストで報いるとか)を提供することも難しくなっている以上は、むしろ多様な働き方を阻害するものとして企業として見直しを迫られているのが現状です。
メガバンクなんかは随分前から勤務地域が限定される社員と、全国規模での転勤がある社員(いわゆる総合職)で分けて採用していますし、待遇も分けられています。当然転勤有りの方が金銭的な待遇も良いし、重要なポストにも就けるキャリアパスになっています。
筆者の勤める会社はメーカーですが、銀行だけでなくメーカーでも今後はそういった傾向が強まると思われます。
最近の若手はリスクをとってまで海外赴任したがらないのが現実
うちの会社には海外拠点が多くあるんですが、その海外拠点の日本人赴任者の高齢化が深刻な問題になっています。一般的に年を取ると病気になるリスクは上がりますが(しかも海外赴任者って付き合いで外食も多くなるし、現地ではそこそこ良い暮らしをさせてもらえるんで食生活とか乱れがちで、よほど気を付けてないと健康は損ないがち)、もし海外で急な病気になったりするとかなり大変。現地で治療できれば良いのですがそうでない場合は飛行機を手配して日本まで運ばなきゃいけなかったり、めっちゃコストがかかる。ヨーロッパとか南米から日本へ運ぶとか、緊急で飛行機チャーターとかしようもんなら尋常じゃなく金がかかります。もしもっていう話じゃなくて既に起こっている話なので、かなり深刻。
そんな状況なので若返りを図りたいのですが、最近の若い社員は海外赴任を嫌がるんですね。今の20代ってみんな賢くて英語ペラペラだったりするのに海外赴任は避けようとする人が多い。
何故かというと最近の20~30代って結婚してると共働きのケースが普通だから。片方が海外赴任、となるとパートナーが今勤めている会社を辞めて海外へついていくか、単身赴任して別居するしかないわけです。一度会社を辞めて職から離れてキャリアに穴をあけると復帰が極端に難しくなるのが日本社会ですから、その分の金銭的な補填をしてもらわないと割に合わないんですよね。単身赴任なんて普通に嫌ですしね。子供がいる場合、子育てに参加できず、赴任から帰ってきたら居場所がなくなってたとか、家庭がめちゃくちゃになってたとか、よくある話です。どっちにしてもリスクがあるわけです。そういう諸々のリスクを考えると、海外赴任が”割に合わない”と言って避けるのは極めて合理的です。
そのあたりをいまいち分かってない部長さんで「最近の若いのは草食系だ」とか言う人がいるんですけど、いやいやそうじゃないと。ただ損得で物事を考えているわけで、むしろ合理的に物事を考えられて優秀なんじゃね?と筆者は思いますが、まあ組織として都合が悪いので「この草食系が!!」とでも言ってないとやってられない上の人達の気持ちも分かりますけどね。
転勤や赴任にはリスクに見合った待遇が必要になる
そんな状況なので、海外拠点のトップが日本に来て若手相手に「海外で働くとこんなに良いことがありますよ!だから皆さん是非海外へ来てください!」みたいなプレゼンをする、というちょっと驚くような事態になっています。バブル世代なんかだとみんな海外に行きたがったんですけど、今やそんなに海外赴任も美味しくないということの象徴みたいな話です。
日本人が行きたくないなら現地の人を雇えばいいんじゃない?というわけにもいきません。やっぱり日本から現場をコントロールしようと思うと、人を送り込んで密にコミュニケーションを図ることは必須です。しかも送り込まれた人はきっちり現場を把握してないといけないから、優秀な人でないとダメ。誰でもいいって話ではない。
そんなこんなで必然、リスクに見合った待遇を与えないと成り立たなくなります。待遇ってのは金銭だったりポストだったりするんでしょうけども、そもそも普通の社員のジョブローテーションなんて適当な理由でやるものではなく、そもそも出世コースに乗っていて会社に対するエンゲージメントが高い人がトップとして送り込まれるという形が一般的になってくるんじゃないかと思われます。合理的に考えれば当たり前の話なんですけどね。
7.縮む都心のオフィス街
当たり前の話ですが、テレワークを活用して遠隔で働く人が増えれば、今のように全員のデスクが用意されている広いオフィスは必要無くなります。
会社に来た方が都合が良い人も多くいるでしょうし、計画策定業務だったり、アイデアを練る議論のために集まって話す場は必要なので、オフィス需要はゼロにはなりませんが、今ほどのスペースは必要無くなるはずです。
もっと言うとプロジェクトの特定の時期だけ一か所に集まる必要があったり、予算編成のある決まった時期だけオフィスに行く必要があるとか、緊急時に集まる場所が必要とか、そういう時期によって会社に通うというメリハリのある働き方が一般的になるでしょう。
筆者自身もオフィスに行くのは年間の半分くらいでいいような気がしますね。一年間の中でも忙しい時期と暇な時期って、あると思うんですよね。暇な時期までずっと会社に張り付いてる必要ってないだろうと思います。無駄な通勤時間って個人にとっての損失ですけど、通勤者が減れば満員電車も無くなって快適な社会になると思いません?
今まで都心でかかっていた家賃コストを、通勤費のような位置づけで郊外でのシェアオフィスを使用する経費にもできますし、全体的にはコスト削減にもつながる話でしょう。
8.日本では職住近接化が更に進む
都心のオフィス面積が減ってオフィス街が縮小するところまでは簡単に想像できるのですが、それで空いたスペースが何に使われるかが、今後の街を形作るポイントです。

足りない足りないと言われているホテルは間違いなく増えるでしょう。あとは職住近接の傾向が強まり、タワーマンションが増えると思われます。
世界から高度人材を呼び込むために職住近接化は必須の環境整備になる
ITエンジニア等の世界的に今後も需要が高まり、今でも不足している高度人材に関しては日本国内だけでは賄いきれないので世界中から呼び込む必要があります。
しかしですよ、そういう人達が東京の通勤地獄を許容できると思います?つーか無理だろって話です。あんな無茶苦茶に不快な目にあってまで日本で働くメリットがあれば別ですけど、普通は快適な労働環境を望むはずです。
高輪ゲートウェイの開発計画が象徴する、職住近接化の推進と住宅の確保
象徴的な話が山手線の新駅の”高輪ゲートウェイ”の開発計画。
高輪ゲートウェイ駅周辺を国際的なビジネス交流拠点にするとか、国際金融都市を目指すとか壮大な目標が掲げられてます。で、この計画の一環として環状4号線の整備が計画されています。
外部リンク<東京都市計画道路 環状第4号線(高輪区間) の測量及び事業の進め方 について>
外部リンク<JR東日本 品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)に係る都市計画について>
高輪ゲートウェイから白金までの道路を整備するという計画。これって要は、高輪ゲートウェイとか品川付近にエリート外国人にたくさん来てもらうために彼らの住む場所として高輪とか白金の高級住宅街を想定しているということ。アクセスし易いようにして利便性を高めて高度人材に働きに来てもらおうという話。
白金とか高輪って今は少々駅からのアクセスが悪くて、だからこそ閑静で暮らしやすい住宅街なんですよね。しかし現時点でたくさんの住宅や建物があるところをぶち抜いて道路にしてしまおうってそんなことできるんですかね。間違いなくもめるので要注目ですが、そこまでしてでも働く人の住む場所を確保しないと人を集められないってことでしょう。
別に外国人に限らず日本人を集めるにしても同じでしょう。通勤時間なんて短い方が良いに決まってますし、満員電車でストレス貯めるとか勘弁して欲しいのは、別に外国人に限らず日本人でも一緒です。ってか当たり前の話。
そのくらい都心の住宅が不足しているし、これから不足することが明らかだってことですから、空いたオフィスが住宅化していくというのは、あり得る話じゃないかと思います。
9.生活空間の大半は屋内化
今って生活必需品はほとんどのものが通販で手に入ります。更にNetflixとかSpotifyとか定額低料金で楽しめるコンテンツサービスも今は充実しています。ゲームなんかも無料で楽しめるものがたくさんあるし、他人とのコミュニケーションもスマホ一つあれば容易にできる。
引きこもってても生活できるんだから、仕事で会社にいかないなら外に出る必要がなくなる現代生活
ぶっちゃけ引きこもってても十分に生活は可能ですし、実際そうやって引きこもっている人はいっぱいいます。しかし引きこもりが問題になっていることも事実で、その際に問題とされているのは就労の話。ずっと引きこもっててると働けないから収入が無くなって親に寄生するしかなくなるし、そういう金が無くてキモいおっさんが増えるのが社会問題だとされているわけです。
でもちょっと想像して欲しいんですが、
- 技術の進歩でテレワークが容易になって会社に行く必要が無くなる
- 自宅や近隣のシェアオフィスで仕事をするようになる
ってことになれば、今まで普通に生活していた人達も外出する機会が大幅に減りますよね。労働って意味では、引きこもりと呼ばれる人達とそうじゃない人達の境目が曖昧になり、業務上必要なコミュニケーションさえとれれば引きこもってても全然問題無くなるわけです。誰しもが外出しなくても問題無く生活できるようになるということ。
気候変動で屋外に居ることがリスクになり、生活空間の屋内化は更に進む
更に最近は駅直結のマンションや、ショッピングモール、オフィスビルが増えてきています。誰だって雨風に晒されずに移動したいし、特に昨今は夏の強烈な猛暑もり、空調管理された空間の中に居たいという欲求は強まっています。また台風や豪雨等の自然災害のリスクも格段に高まっているので屋外にいることがそもそもリスキーになりつつあり、安全面でも屋内に居ることが合理的です。駅からビル、ビルとビルの間を渡り廊下や地下道でつないで閉鎖空間の中を移動するって、都心の一部地域であれば既に実現していますが、これからどんどん一般化していくと思われます。だってその方が快適なんだもん。そして快適じゃなきゃ人は集まりません。
というかむしろ車移動が当たり前の郊外や田舎の方が、建物から建物を車という閉鎖空間を伝って移動する分、今でも顕著な話かもしれません。車の自動運転が実現すれば更に拍車がかかると思われます。
ということで、今でも自然に触れ合う機会は、意識しないとなかなかありませんが、どんどん生活空間の屋内化は進むと思われます。まあその方が合理的ですから。
“外出の目的はエンタメ” が当たり前になる
しかしですよ、人間ずっと引きこもっていたら気が滅入るし、外出したくなるのが普通です。気晴らし、エンタメ目的の外出は必要です。
というかそれしか外出する合理的な理由が見い出せなくなります。エンタメと一口で言っても友人に会うとかも含まれます。要はその場に行かないと体験できない、実体験を伴った娯楽です。そうすると、ただ必要なものを買いに出かけるような娯楽性の薄い外出は意味が無くなるので、商業施設の淘汰が凄い勢いで進むと考えられます。というかアメリカなんかは既にそうなっていて、小売の通販化が進んでショッピングモールの廃墟化や小売店の閉鎖が物凄い勢いで進んでいます。2030年にはおそらくほとんど絶滅に近い状況になっているでしょう。
じゃあエンタメとして成り立つような、”楽しさ”を提供してくれて、わざわざリスクをとってでも行きたくなるところってどんなところでしょう。ぶっちゃけディズニーランドくらいの楽しさが無いとダメなんじゃないかと思うのですが、そうすると繁華街がディズニー化するってこと?それは楽しそうだし是非そうなって欲しい。

小売り店や飲食店の “ディズニーランド化” が進む
そうなる可能性があるものって色々ありそうですけど、たぶん最も可能性が高いのが飲食。飲食って市場の規模が巨大で、美味しさだけではなく空間演出なども含めると多様なクリエイティビティーが求められますし、そもそも現場に行かないと消費できないので、足を運ぶ意味があります。実際、今でも都心の感度高めのアパレルショップでは飲食店を併設させたところが多くあります。ベイクルーズ系列なんかは比較的多く見かけます。
外部リンク<CITY SHOP>
よくよく考えると、食ってエンタメなんですよね。わざわざ原宿、表参道にタピオカを飲みに行くってのはそういうことですし、集客装置として機能するってことです。今でも多種多様な飲食店がありますが、今はまだ労働集約的なビジネスなので更なる効率化や工夫が必要そうではありますが、産業としての可能性を秘めているのは間違いないようで、実際大企業でも目をつけてるところは多い様子。
まとめ
ということで今回挙げた話は次の9点
- 今の日本社会で会社が持つコミュニティ提供機能が薄れておじさんの居場所は会社から地域へ移っていく(移らざるを得ない)
- 世界的な人手不足により従来の”正社員身分”のメリットが薄くなり、更にテクノロジーの進歩が後押しになって多様な働き方が当たり前になる。
- 個人スキルが重視され、実力本位で評価されるので格差が拡大し、生涯学習が当たり前になる。個人の信用も重要なファクターになる。
- 複数の多様なコミュニティに属することが当たり前になる。
- 郊外や地方の駅前にワーキングスペースが増える。古い施設からの転換を早く進めた自治体は人を呼び込める。
- 転勤や海外赴任者は減る。転勤や海外赴任は一部のエリート層が担うことになり、多様な働き方の増加ととともにビジネスエリートとそうでない人の経済格差がより顕著になる。
- 都心のオフィス面積、オフィス街は縮小する。
- 国際化の進展とともに職住近接の傾向が強まり、空いたスペースはホテルや住宅になる。
- 生活空間の大半が屋内化し、外出の目的はエンタメに特化していく。それに伴って街のお店は飲食店を中心に楽しさの提供に特化し、よりエンタメ空間として洗練されていく。
いかがでしたでしょうか。少しでもピンとくる話があったら嬉しいです。また続きを書くつもりですので、その際も是非よろしくお願いいたします。
今日はここまで!ではでは~。