今日は電機業界のよもやま話。
先日ドン・キホーテに買い物に行ったら、詐欺商品だと話題になっていた韓国製の消毒液が売ってました。実際はアルコール濃度が5%程度にも関わらず71%と表示して売っていて、輸入販売していた会社が行政処分を受けたってやつ。
そんなもんをまだ売ってるあたりがとってもドンキっぽい(*´ω`)。
しかしまあ、さすがに報道までされてたガチの詐欺商品を置かれると、やっぱドンキで韓国製とか中国製とか、聞いたことないメーカーのものとかは、いくら安いっていっても買わない方がいいなぁ、と思っちゃいますね。(当たり前)
そもそも、ドンキに清潔感を求めてもしょーがねーんだよ!ドンキはそういうそういうカオスなところがいいんだよ!って話。安心して買い物したいなら、ちゃんとした(?)スーパーに行きましょう。
筆者は、なんやかんやでドンキは好き。これからも通います。
今日はドンキの悪口が言いたいんじゃない。
韓流ブームとかK-Popとか、これまでも韓国の良いイメージが浸透するきっかけはあったにも関わらず、いまだに怪しいイメージのつきまとう ”韓国製” という響き。
あくまでイメージなので、人によって感じ方に差はあるんでしょうけど、やっぱり ”韓国製” のモノって日本人の日常生活に浸透してなくて、なんとなく非日常感を感じる、日本製の方が安心する、ってのが多くの日本人の感じ方だと思います。
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世界一の家電メーカーなのに日本では全然シェアがとれない韓国 Samsung
そんな日本に浸透しない “韓国製” を象徴してるのが、サムスン(Samusung)の家電。
韓国のサムスン電子は売上高が約20兆円の、パナソニックやソニーの倍以上の規模の、世界一の家電メーカー。
グローバルに展開していて、日本以外の地域では高い製品シェアを持ってます。日本以外では。
そう、日本では全然ダメダメなの。世界一の家電メーカーなのに。
世界一なのに、日本では全然売上が上がらず、日本での家電販売からはスマホ以外は撤退しちゃってます。ここで言ってる家電とは、テレビとか洗濯機とか冷蔵庫とかのこと。(半導体や液晶パネルなどの部品ビジネスは今もやっています。)
スマホでも世界一です。サムスンの世界でスマホ販売台数7,500万台で、Appleよりでかい、日本メーカーのスマホなんか束になっても全然かなわない超巨大メーカーです。
でも、言うほどサムスンのスマホって存在感無いですよね。iphone多すぎって話かもしれないですけど、日本市場だと6%くらいのシェアしかないのが現状。
ちなみに世界シェアだと21%。性能的にも、Galaxyシリーズのフラッグシップはiphoneにもひけをとらない高性能機ですし、品質面でも優秀です。
なのに日本ではあんまり売れない。
韓国製はブランド力が弱いから、ってのが売れない理由の一つではあるんですが、それでも安ければ買う人は出てくるので、安売りするばある程度のシェアはとれるはずなんですけど、それでもダメだったんですね。
なぜなのか。
韓国製の家電が日本に浸透しない理由その1:複雑怪奇な販売システム
筆者は電機メーカーに勤めているので、これまで色々と話を聞いてきたのですが、理由は結構簡単で “日本の家電市場は参入障壁が物凄く高い” から。
参入障壁って言っても、別に国が規制してたとかそういう話ではなく、一つは、販売システムが物凄く複雑なこと。
例えばヨドバシカメラ、ビッグカメラ、ヤマダ電機、ケーズデンキ、ジョーシン電気とか、販売店、量販店ごとに違ったシステムを使っていて、そこに卸しているメーカー側はそれら全てに対応しなければならず、しかも販売店がシステムを更新する度に、それに合わせてメーカー側もシステムの増改築を繰り返してきたもんだから、九龍城みたいな複雑怪奇の極みみたいなバケシステムになっちゃってて、後発のメーカーが先発の大手メーカーと同じように販売活動をしようとするとそれと同じものを持ってないとダメなんですけど、今更そんなもの作れないし作り方も分からん、という状態。
しかもその複雑怪奇なシステムの維持コストが、長い年月を経て積み上がってアホみたいに高くなっていて、家電量販店で売っている製品の価格のだいたい10%くらいは、システムの維持コストだと思って間違いないです。
なので日本のどこの量販店に行ってもおいてある、という販路を作ろうとしても、外国から入ってくる企業からしたら無理ゲー状態なわけです。
韓国製の家電が日本に浸透しない理由その2:複雑怪奇な商習慣
2つ目の理由は、店頭の棚に商品を置くために、どこの誰と話せば良いか分からない、という商習慣の複雑さによるもの。
例えばアメリカのウォルマートとか、普通の外国の量販店や販売店であれば、本部のバイヤーとか、扱う商品を決める人ってのが明確に決まっているので、その人と話してOKもらえれば店頭に商品をおけます。
しかし、日本の場合はそんなに単純にできてなくて、ある地域の量販店だと現場の意見が強いので現場の店長に認めてもらわないとダメ、とか、実は間に入っている商社が牛耳ってるんですよ、とか、本部のバイヤーに決める権限はなくて社長と直接話さないとダメ、とか、とにかく意思決定プロセスが複雑で一筋縄ではいかず、これも外国から来た人にとってはわけが分からない状態。
システマティックに物事が決められないんですよ。
この2つが日本の家電市場における、”天然の参入障壁” みたいになっていてことが、外国企業がなかなか入ってこれない背景です。
世界に誇るガラパゴス市場
まさに世界に誇る “ガラパゴス市場”。
なのでこれを超えて日本市場に参入しようとしたら、既に日本で根を張っている会社と手を組んで水先案内をしてもらうしかないのです。
SDカードのサンディスク(SanDisk)はアメリカの会社なんですけど、普通にどこのお店に行っても置いてありますよね。何故それができたのかというと、サンディスクはキャノン(Canon)と組んだんですよね。そういう日本市場を熟知したパートナーと組めたから成功したわけです。
想像するに、家電だけじゃないでしょうね、この構造。だから一時期トランプ大統領も怒っていたんでしょう。
まあこんなもん、政府の規制とか指導でどうにかなるもんでもない、天然の参入障壁ですからね。文句言われてもどうしようもないでしょう。
そんなこんなで、ガラパゴスジャパンっていうと世界から取り残されてるイメージがあって、あんまり良いイメージが無いんですけど、実は国内市場を守ってるような側面もあって意外とバカにできないもんなんですよ、という話でした。
今日はここまで。ではでは~。