サラリーマンの人生設計の話

金融庁「老後資産2,000万円」報告書が言いたかったことを分かりやすく解説 実は良いことを言っている!?

今日も前回に引き続き、投資についての投稿です。

前回から引き続きここで話題にするのは、四六時中PCに張り付き株価とか為替のチャートを目を血走らせて見てるみたいなデイトレード的なものではなく、一度買ったらしばらくは放置してゆる~くやる、いわゆる投資信託で行う投資のこと。

普通のサラリーマンが副業ではなく、少額で長い時間をかけて資産形成を行う、ごくごく一般的なやり方の話です。

で、筆者の知る限りこの手の話が一番よくまとまっていて、至極真っ当な、スタンダードなことが書いてあるのが、やっぱり前回の記事で引用させてもらった金融庁のwebサイトじゃないかなと思います。とくに話題にもなった報告書 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」” が、非常に問題点や課題が整理されてて分かりやすいんですよね。必要性を学ぶ、という意味ではこれが一番良いんじゃないかなと思います。

ということで今日もこのレポートの一部を引用させてもらいつつ、投資の話をしたいと思います。

事実を言ってるだけなのによってたかってボコボコにされた金融庁の「老後資産2,000万円」レポート

ネタにさせてもらうこちらのレポート、

 「金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について」(引用元 “金融庁webサイト” )

まず最初に言っておくと、このレポートに対しての筆者のスタンスは「当たり前のことを言っていて、細かい突っ込みどころはあるにしても、大筋でよくまとまっている良レポート」です。

世の中には色んな意見があるし、あって当たり前なんですが、このレポートについては “意見” 以前にほとんどがただの事実を述べているだけで、そんなに難しいことは言っていないと思っています。

むしろ「お!結構良いこと言い始めた!」と思っていたんですが、よってたかってボコボコにされちゃってちょっと残念だったくらい。。

事実と事実に基づいた分析と対策よりも、「こうあるべき」「こうあって欲しい」という理想論や願望が大切で、そのためには事実を捻じ曲げても構わないっていう考え方は、昔からの日本の悪癖ですからね。原発事故を起こした要因でもあり、日本人の信仰心みたいな話なので一般民衆である自分達にはどうしようもないので諦めるしかない。ただ、せめてまともなことを言っているこのレポートについては、少しでも多くの方に正しい内容を知って欲しいし、全文読むことをおススメしたい。。

とは言うものの、原文読んでください!だけだと面白くないので、筆者的に良い所を突いてるね!と思う箇所をピックアップ。ここではオブラートに包まれて分かりにくい話になっている部分を、極論を交えつつ忖度無しでストレートに解説したいと思います。若干筆者の解釈も入りますが、だいたい間違ってないはずだお (`・ω・´)

良いこと言ってるね!その1:日本だけに投資してもダメ

まず一つめ、↓の部分。

さらに期間を 40 年という超長期で見ても、日経平均だけに積立投資するよりも、
米国 NY ダウと組み合わせた方がトータルリターンはさらに大きくなり、そのバラ
つきも小さくなる。80 年代頃は日本国内でも高金利を享受できたが、同じく 40 年
間、毎年定期積金した場合のトータルリターンは 13.9%ほどにとどまる。これらの
例は、過去の実績に基づくものであり、将来においても同様の結果になるとは限ら
ず、想定外の損失が発生するリスクも存在することには留意が必要であるが、長
期・積立・分散投資がリスクをコントロールし、一定のリターンをもたらしやすい
点で、多くの人にとって好ましい資産形成のやり方であると考えられる。

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.22″

これ、超ストレートに言うと、日本に投資してもダメだって言ってます。日本国債なんかはもちろんのこと、株式(日経平均)でもダメで、ぶっちゃけアメリカのNYダウにも投資しなさいって話。

まあ分散投資の考え方からすると当たり前ですし、上記でも過去実績に基づいた話だと明言してますが、日本は経済成長してないですからね。リターンはしょぼくて当たり前。日本国債とか、まじでクソ。将来?日本が伸びるわけないじゃん。少子高齢化でこれからも低迷する可能性の方が高いでしょう。一方でアメリカは日本が低迷している間も伸びていたし、これからも伸びる(可能性が非常に高い)のでアメリカに投資しないって選択肢は無いでしょってことを言ってます。

ストレートには言えないこういうことを、一応とはいえ、ちゃんと言ってるところが筆者的に好印象なポイントだったりします。

良いこと言ってるね!その2:贅沢したいなら自分で何とかしなさい

その2↓

自らの望む生活水準に照らして必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば、各々の状況に応じて、就労継続の模索、自らの支出の再点検・削減、そして保有する資産を活用した資産形成・運用といった「自助」の充実 を行っていく必要があるといえる。

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.24″

自分の望む生活水準を送るのにお金が足りないんだったら、年金が足りないと文句を言うのではなく自分で何とかしろって言ってます。もう当たり前すぎるくらいに当たり前なんですが、そのために制度の充実を図ってくれてるんだからありがたい話です。

良いこと言ってるね!その3:金融機関は客を食い物にするのをやめろ

その3↓

まず前提として重要になってくることは以下の二つである。
 顧客本位の業務運営の徹底
・ 顧客の状況からみて、過度にリスクの高い商品の販売を行わない等、
顧客にとってふさわしいサービスを提供すること
・ 手数料の明確化
・ リスクやリターン等を顧客が自ら判断できるようにするための分か
りやすい情報提供等
 サービスに見合う適切な対価の説明と請求(サービスの持続可能性や 顧客の利用しやすさにも配慮)

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.27″

これは金融機関というか金融サービス提供者の姿勢のことを言っています。てゆーかさ、”顧客本位の業務運営”とかやってて当たり前の話ですよね?なんでわざわざこんなとこで言う必要があるのか?それは金融機関が “顧客本位じゃない業務運営” をやってるから。少なくともこのレポートを作った人達はそう思っているかわざわざ指摘してるのでしょう。ちゃんとやってるのであれば言う必要ないですからね。

日本郵便の不正の話なんかが良い例です。お年寄りを食い物にするようなことをするなってことですな。

良いこと言ってるね!その4:ファイナンシャルプランナーが必要

その4↓

個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在が重要である。現状では、その役割は主として本人に一番身近な金融機関などが担うことが想定されるが、業態ごとの商品・サービスが多様化しているため、単一の業態の金融サービス提供者が全ての商品・サービスを俯瞰したアドバイスを行うことには難しい面がある。

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.33″

その3に引き続き、金融機関をディスりつつ、中立な立場でアドバイスできるファイナンシャルプランナーが必要と言っています。逆に言うと今はあんまり居ないということです。アメリカだと金融機関から独立したファイナンシャルプランナーがいて、ちゃんと機能しているので、そうせねばならぬと言っています。

以前、金融機関から独立した立場で活躍するファイナンシャルプランナーの方にお話しを伺ったことがあります。日本だとファイナンシャルプランナーって言っても、ほとんどが中立性は無く、どこかの金融機関に利益誘導する、提灯持ちみたい人ばっかりなのだそうです。その理由は、日本にはアドバイスにお金を払うという習慣が無く、金融機関から独立してアドバイスだけをサービスとして成り立たせるのが困難だから、だそうです。

そのあたりから日本人のリテラシーを伸ばしていかないと、結局良い方向に動いていかないということですね。

良いこと言ってるね!その5:ファイナンシャルプランナーが必要

その5↓

「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定されて2年が経過し、各金融機関等の取組みも進展してきたが、販売担当といった現場レベルには必ずしも十分に定着していないといった厳しい指摘も行われている。今後の更なる改善に向けて、今一度、各金融サービス提供者は顧客本位の業務運営とは一体何なのか、突き詰めて考える必要があるといえる。

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.44″

よっぽど腹に据えかねてるのか、金融機関の(ろくでもない)体質については、レポートを通してしつこいくらいに繰り返し指摘してます。日本国内での投資信託への満足度が非常に低いといった調査結果もあるようで、「お前らがろくでもない商品を無理やり売りつけるから投資信託が信頼されないんだYO!だから投資での資産形成がすすまないんだ!足ひっぱるんじゃねぇ!」って言いたいんだろうなーと思います。。

良いこと言ってるね!その6:不動産神話の原因

その6↓

相続税評価額の算出時には、不動産の時価に一般的に時価より低い路線価が用いられる一方、株などの有価証券では時価である株価等が用いられている。この違いにより、不動産が金融資産よりも投資対象として選好され資産選択に歪みが生じているとの指摘があり、資産承継に関する制度のあり方についても、検討していくべき課題である。

金融庁 公開資料 “金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」P.31″

良く言われる日本の不動産神話の原因の一つがこれですね。不動産って流動性が低い上に、ほとんどが日本国内の資産。土地にばっかり資金が流れても経済全体にも良いことないですからね。流動性が比較的高い資産で、しかも伸びる可能性の大きな米国等の株式でバランスよく資産形成しなさいって言ってます。

結局のところ一般人の投資は3つのセオリーに忠実であることに尽きる

色々と茶化しながら解説しましたが、とどのつまりサラリーマンの、というか一般人の投資は

 ・長期(早く始めて長期で続ける)

 ・定額(毎月一定額を投資し続ける)

 ・分散(バランスよく投資する)

の3つのセオリーに尽きることを繰り返しレポートの中で言っていて、現役世代に対しては

「現役世代はお金は持ってないけど時間はある。長期での資産形成に必要なのは何より時間という資源なんだから早めに始めるべし。」

と言っています。金言だと思います。(一方で高齢者に関しては、認知能力が低下した人へのサポートの必要性等、現役世代とは違ったサポートが必要と繰り返し語っています。)

筆者は別に金融庁の回し者でも何でもないのですが、自社に利益誘導せざるを得ない民間の金融機関や、選挙のためにポジショントークをせざるを得ない内閣なんかより、よっぽど信頼のおける情報を金融庁が発信しているのは間違いないです。

是非皆さんご一読を。

今日はここまで。ではでは~。

こちらの記事もおすすめ!