電機業界と日本の会社のよもやま話

選挙と既得権と頑張った武士たち

約8年続いた安倍政権が終わり、次はどうなる?が目下の日本政治の関心事。今後行われる総選挙がどうなるかも気になるけど、アメリカ大統領選挙の方が個人的には注目だったりもする。こっちは世界最強の権力闘争ですし。

そんな選挙に関して、英国元首相チャーチルが良いことを言っている。

「選挙に立候補する人間は、私を含めてろくでもない人間ばかりである。」

「選挙とは、ろくでもない人達の中から現時点で税金を上手に分配できそうな、少しでもましな人を選び続ける忍耐そのものを指しているのである。」

この人、たくさんの名言を残してるんだけど、とっても毒舌なところが好き。

つまり選挙なんて消去法だという話。

安倍自民は約8年続いた長期政権だけど、ずっと100点満点だったなんて大多数の人は思ってないだろう。構造改革はほぼ何にもやらなかったに等しいし。

ただ他よりは圧倒的にマシだと思われていたのも事実。爆散した民主党政権がクソ過ぎたってこともあるけども、政権担当能力のある政党が他に無い。

最近になって国民民主党の玉木さんとか、N国の立花さんとかはまともな事を言ってるけど、野党第一党のはずの立憲なんちゃら党なんてミニ社会党化してて頭おかしいとしか思えない。

大多数の人にとってイデオロギーなんてどうでもよくて、自分の利益になりそうな人を支持するだけの話だし、利益にならなければ支持しない。モリカケがどうとか人権がどうとか、憲法だって普通の人にとってはどうだっていい話なのだ。

武士だって500年間苦労し続けて権利を手に入れたのだ

ちょっと話が飛ぶけど、過去の日本の歴史からもそれはよく分かる。11世紀から江戸幕府に至る期間の日本は武士が主役。その江戸幕府は武士の政権で、300年間の平和な時代を築いた世界史上でも稀有な政権だ。何でこんな政権が誕生したのか?

そもそも武士ってのは武装した農民が元の姿。武士(=武装農民)が発生したのは平安時代末期。その時代は朝廷っていう中央政府がクソ過ぎて治安維持ができないもんだから、自分達で自分達の農地とか財産を守るために武装し始めたのが武士の始まり。

武士道がどうのこうのとか、武士道は死ぬことと見つけたりとか、なんとなくカッコよくそれっぽいことを言ってるけど、そんなもん後付けでしかなくて、元々は自衛のために武装して、だんだんと領主化していったのが武士。

治安維持すらできないクソ政府が税金だけ巻き上げて、行政サービスはほぼ何もやってない状態が長く続いていたわけです。こんなの一般国民からしたら普通にムカつくでしょ?

しかも日本の食料生産を担っているのは農民。つまりは武士達。貴族は農業なんかやらない。さらに治安が悪くなり過ぎていよいよ京の都もやばくなってきたもんだから貴族達は武士の武力に頼り、治安維持を業務委託し始めました。

※当時の京の都の荒廃ぶりは芥川龍之介の”羅生門”が分かりやすく描いている。首都の正門に死体がゴロゴロ転がってて野盗が住み着いてるとか、マジ世紀末。

その一方で藤原氏が平等院鳳凰堂とか作って超豪華な生活をしてたという、サウザー様もびっくりのイカれた時代だったわけです。

汗かいて野良仕事するわけでもなく、施政者らしい仕事なんかしてない奴らが税金を巻き上げて政治ごっこしてるとか、せめてそいつらがラオウくらい強けりゃ納得もできるんでしょうけど、自分の身も守れないくらい弱っちい奴らが偉そうにしてるもんだから、武士達からすれば普通に考えてムカつくわけです。たっぽいたっぽい。

生産活動と武力の主力であった武装農民である武士ってのは、どう考えてもこの時代の主役。だけど政治的には武士は脇役で、政治は朝廷の貴族が仕切っていて、武士は不利な立場に追いやられている。

なんとかしたいけど、武士同士も互いに争っててまとまりも無いし、上皇とかクッソ腹黒い政治屋に引っ掻き回されるし、つーかそもそも政治的センスがないから何をどうすれば良いのか分からない。

要は武士の権利向上に導いてくれる、政治的なセンスを持った指導者がいなかったのです。

そんな中で最初は平家が頑張ってたけど、だんだんと朝廷に寄せていってクソ貴族化。平清盛、お前武士の棟梁のくせに太政大臣って何?なんで貴族みたいになって自分達だけ楽しんでんの?おかしくない?ということで支持を失い、結局そういう不満の構造をよ~く分かってた政治センス抜群な源頼朝が支持を集めて”武士による武士のための政治を実現するぞ!“ということで鎌倉幕府が誕生したわけです。

その後、色々あって鎌倉幕府も支持を失って上手くいかず支持率低下。朝廷が少し力を取り戻したり、日本の構造問題をよく分かってない足利氏が室町幕府を作ったりで全然まとまらず、日本の修羅の国化が進みます。

その後なんやかんやあって、400年かかってようやく徳川家康が天下統一。源頼朝がやりたかった”武士による武士のための政治“を実現させ、江戸幕府爆誕。日本の主役である武士達がようやく正統な権利を得たことで争いも無くなり、世界でも類の無い300年の平和な社会が実現したのです。

これ、もう一回簡単に言うと「武士という実質的に国を支えている生産活動の主力が既得権をぶっ壊して権利を得る。」というサクセスストーリーです。実質的に国力の主力を担っている人達が権力を持つって当たり前の話だと思うんですけど、実現するまでに平清盛から数えても500年近くかかってるんですよね。

現代はちょうど室町時代くらいの感じ?

そんな歴史を踏まえて、現代の日本に目を向けてみるとどうか?

今の日本の生産活動の主力って民間企業でしょう。特に工業やサービス業。人という意味では、そういう企業で働く労働者、つまりは都市部のサラリーマンが今の日本の豊かさを支えています。で、日本の大多数を形成する無党派層を形成しているのがこの都市部のサラリーマン家庭。平安末期で言うところの武士に相当するのが彼らというイメージで、筆者もその一人。現代日本の選挙で勝ち負けを決定づけるのは彼ら都市部無党派層の動向だと言われています。

一方で戦後伝統的に支持基盤を地方の農業や漁業などの1次産業従事者におき、農協とかを通じてバラマキつつ持ちつ持たれつでやってきたのが自民党。

しかし1次産業従事者は右肩下がりで減っており、どう考えても農業は今の日本の主力産業ではない。(食料生産は安全保障にかかわる超大事な話だけどそれはまた別の話。)なのに彼らに寄った政策をとって税金を使ってたのでは上手くいくはずがない。だから大多数を占める無党派層はずっと不満に思っていて、ファック自民党だったわけです。

現代日本を統治するには適さない、とっくの昔に壊れた権力構造が日本を支配してて、まさに平安末期を彷彿とさせる状況。

そんな壊れた自民党に代わる政党として結党されたのが昔の民主党で、元々は構造改革の必要性を明言し、都市部のサラリーマン無党派層を支持層にすることを目指した、まともな政党でした。ウソみたいなほんとの話。今や見る影もないけど。

で、既に壊れていた自民党ですが「自民党をぶっ壊す」と言って構造改革を旗印にして誕生したのが小泉政権。小泉政権は構造改革を期待した都市部無党派層を取り込むことに成功し、5年の長期政権を確立しました。

新たな支持層に支えられて生まれ変わったかに見えた自民党でしたが、その後を継いだ安倍、福田、麻生政権が追い出したはずの守旧派を戻したり、「実は郵政民営化には反対だった」なんて言い出して先祖返りしたものだから一気に都市部無党派層の支持を失い、支持率急落。

次は「そういえば民主党って元々構造改革やるって言ってたよね?」ということで都市部無党派層の支持が民主党へ集まり政権交代実現。

しかし民主党の中でも本当の意味での構造改革の必要性を理解している人は一部だけだったようで、鳩山、菅という悪夢がトップになったことで完全に支持を失い、爆散。

そして前回の失敗から勉強し、構造改革の必要性と無党派層の重要性をようやく理解した安倍晋三が経済成長と構造改革を掲げて復権。

結局構造改革はほぼ手付かずで終わってますが、経済成長と構造改革を政策の柱に据えたことで約8年の長期政権を確立しました。

そんな感じで近年の日本では、大衆は国内の構造改革を推し進めてくれる政治家を求めてきたし、それを実現してくれそうな人が支持を集めてきたわけです。

ただ構造改革とか規制緩和って既得権をひっぺがすって話なので、物凄く難しい話。そこら中に敵がいて抵抗されるので超めんどくさいし、なんだったら実弾が飛んできてもおかしくない世界。検察官の定年を半年延長しようとしただけで、そこら中からボロクソに言われてひどい目に合うみたいな。既得権の解体なんて簡単に解ける話ではないし、すぐに結果なんて出ないので支持率に結び付けるのも難しい。だから安倍総理も途中でばっくれ気味になったんでしょうね。

少なくとも武士達は500年かけて血の雨の中で戦って既得権をぶっ壊し、自分たちの権利を獲得したわけですし、すぐに変わるなんて思っちゃいけないんでしょう。

不満があるからと言ってサラリーマンが武装蜂起しない分だけ、現代の方が平安末期よりなんぼかマシでしょう。Twitterで罵り合ってるくらいで済むんだから、平和で良い世の中です。

以上、こんな見方をすると世の中の流れが見えて面白いですよ、という話でした。

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