そろそろ6月も近づき、ドクダミの香る季節になってきました。独特の青臭い香りに梅雨を感じる今日この頃。
今日はソニーの経営方針説明会で面白い話があったので、それについて書こうと思います。
過去2年連続で過去最高益を更新し、絶好調のソニー。今期はコロナの影響で減益は避けられないんでしょうけども、一時期のダメっぷりがウソのよう。
個人的にソニーの吉田憲一郎社長とトヨタの豊田章男社長は、タイプは違えど日本を代表する名経営者じゃないの?と思っており、特にソニーの吉田社長は、業界内でもソニーを建て直したのは明らかにこの人だよね、的な評判の方です。
このお二人の話って、難しいところもあるんですけど、比較的自分の言葉で分かりやすく表現してくれるので、聴いてると面白いんですよね。
で、今回一番面白かったのが、金融事業(ソニーフィナンシャルホールディングス)の完全子会社化の話。現在65%の持ち株比率を、4,000億円くらいかけて100%にするっていう話ですね。
ソニーが経営方針説明会で語った地政学リスク
この金融子会社の100%子会社化によるメリットを3つ挙げてて、
1つ目が、35%にあたる少数株主に払われていた配当を取り込むことで純利益が増えること。
2つ目が、地政学リスクへの対応。
3つ目が、ソニー本体の1株利益を向上することでの、株主・企業価値の向上。
この中で、面白いのが2つ目の “地政学リスクへの対応” の話。
これ十中八九、米中覇権争い、というか今後起きる米中戦争のことを言ってます。
つまり、今までみたいにHuawei(ファーウェイ)へイメージセンサーを売ることができなくなる可能性があったり、中国での商売がやりづらくなるので、日本国内で稼げるように準備しておく、ってことでしょう。
米中覇権争い自体がコロナで早まった感があるとは言え、現実のビジネスに影響が出る時期が遠くないと見込んで、手を打ってるってことです。
日本を代表するグローバル企業が具体的なリスクヘッジのアクションを明言しているのを聴くと、いよいよか、って感じになるわけです。
米中覇権争いの本格化とその本質
今は世の中、コロナの話でいっぱいいっぱいって感じですけど、しばらくすると米中覇権争いが本格化してきます。
一般的に “覇権争い” って言い方してますけど、実質は戦争でしょうね。日本だと “戦争” って言葉にアレルギーのある人が多いし、凄くきつい言葉に聞こえるので “覇権争い” って言ってるだけ。
トランプ大統領が中国共産党を非難するコメントとか「またトランプが過激なこと言ってるよ」的なノリで報道されることが多いですけど、「もう中国を許しておけない」というのは、共和党も民主党も関係無く一致している、米国内のコンセンサスです。
もうちょい正確に言うと、“中国大陸での中国共産党の独裁体制を潰して民主化させる” ことを目指すはずです。
何故かと言うと、“民主化されてる国とじゃないと安心して付き合えないから”。
民主主義の一番のメリットは、”現政権が腐っても、選挙という平和的な手段で政権交代ができるところ” です。
“民主主義” が発明される前、選挙ができなかった時代は政権交代を実現させるためには、内戦で前政権をぶっ倒すしかなかった、ってことは人類の歴史が証明しています。
内戦が起きると、作った工場や農地は破壊されるし、人は死にまくるし、まともな経済活動なんかできなくなります。いくら投資しても政権交代の度にリセットされちゃうから富が蓄積されず、継続的な経済発展なんてできっこない。
特に中国、というか支那(china)大陸の歴史がまさにそんな感じで、歴代王朝が力を失う度に、内戦で国内をぐっちゃぐちゃに破壊しまくって、人口が半減するまでやって、易姓革命とか言って政権交代してきました。だから最近まで貧乏な国だったわけです。
で、鄧小平の時代を経てようやく国内が安定し、世界中から投資を呼び込んで世界の工場として経済発展を遂げました。
今や世界のサプライチェーンの重要な位置を占め、中国の工場が止まると世界中のサプライチェーンが止まって、世界中がめっちゃ困るってことは、新型コロナで改めて良くわかったと思います。
でも、世界経済に必要不可欠なポジションを占めるところまで来ちゃったにも関わらず、政治体制は共産党の一党独裁、ファシズム体制のまま。
これってめちゃくちゃ危なくて、もし中国共産党が国民の支持を失って、それを倒そうと内戦なんてことになったら・・・・巨大マーケットの中国は無くなるし、モノは作れなくなるしで、世界恐慌に突入でしょうね。
それを引き金に第3次世界大戦なんてことにもなりかねない。
だからアメリカ、ってか西側諸国にとっては死活問題だし、そんなことになってもらっちゃ困るから、とっとと民主化して平和裏に政権交代できるようになって欲しいわけです。
ただ、独裁やってる中国共産党がそんな話をのめるはずが無い。だから中国共産党を潰す以外に選択肢が無い、ってことになります。
アメリカの中国共産党潰しって実際どうやるの?
で、コロナの件で、アメリカ国内の中国に対するヘイトもたまってきたし、いよいよ中国共産党潰しが本格化するぞ、という流れになってきたので、そのう動きに備えようというのが、ソニーの経営方針でも出てきた地政学リスクの話なのでしょう。
しかし潰すと言っても、具体的にどうやるのか?
まさか、いきなりミサイルを撃ち込むわけにもいかないでしょうし、アメリカがバックアップしてる香港の民主化デモを、全土に広げるイメージでしょうかね?
日本にはアメリカ側につくしか選択肢は無いけども
こういうトーンでの報道は日本国内だとほとんどされないので、個人でアンテナ立てて感度を高めておかないと状況が見えてこないんですよね。
まあ、日本に選択の余地は無く、アメリカに付く以外に選択肢は無いので、報道する意味もないのかもしれませんけどね。
「中国共産党に付くべきだ」とか「中立であるべきだ」とか言い始めるグループが出てきても、うるさいだけで意味を成さないし。
そうすると日本企業はそれを前提に経営するしかないし、ソニーも状況を読みとって企業として打つべき手を今のうちに打っている、ってことなんですけど、現場のサラリーマンがやれるリスクヘッジって何でしょうね。
ぼちぼち何か考えておかないと手遅れになりそうな予感。。
今日はここまで。ではでは~。