電機業界と会社の話

泥縄的?新型コロナウイルスへの日本政府の対策は遅いのか?日本人的な問題対策とは?

※2/29追記 政府公式サイトから正しい情報を得ましょう

※2/29時点での追記です。

日を追うごとに新型コロナウイルスへの対策レベルが上がってきていますが、前例のない事態であるため不安に駆られる人も多く、感情論や陰謀論も含め、様々な意見が散見されます。

対策については、正しい情報を得ることは何より大切です。想像を巡らせる前に、まずは政府の公式情報を参照するようにしましょう。

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今日も先日から引き続き、新型コロナウイルスについての投稿です。

2020年1月31時点の感染者数と死亡者の数はこんな感じらしい。

“内閣官房ホームページより抜粋”

国名感染者数感染者数の内死亡者数
中国9,692人212人
タイ14人0人
韓国7人0人
台湾9人0人
米国6人0人
ベトナム5人0人
シンガポール13人0人
フランス6人0人
オーストラリア9人0人
マレーシア8人0人
ネパール1人0人
カナダ3人0人
カンボジア1人0人
スリランカ1人0人
ドイツ4人0人
アラブ首長国連邦4人0人
フィンランド1人0人
イタリア2人0人
インド1人0人
フィリピン1人0人
日本12人0人
合計9,800人212人

新型コロナウイルス関連感染症の発生状況について(厚生労働省HP)(令和2年1月31日現在)

新型のコロナウイルスによる肺炎について、政府は先に国内での感染拡大を防ぐため、感染症法の「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定するための政令を閣議決定し、来月7日に施行するとしていました。

これについて安倍総理大臣は、31日の衆議院予算委員会の集中審議で「WHO=世界保健機関が緊急事態を宣言したことを受け、あす2月1日から施行することにした」と述べ、施行日を2月1日に前倒しする方針を示しました。

NHK NEWS WEB から引用

「政府の対策が遅い!」とか色々批判されていますが、確かに泥縄的だとは思います。

泥縄ってのは”泥棒を捕らえて縄をなう”の略。事が起こってから慌てて対策し始めることをバカにした言い方です。

しかし過去の歴史を振り返ってみても、日本はこういう緊急事態に対して泥縄的な動きをとることが多い。東日本大震災の原発事故だってそうだったでしょ。

完全に個人的な感想ですけど、今回は意外と早く政府が対策に動いたなぁ、以前だったらもっと決められずにグズグズやってたんじゃないかなぁ、と思いました。むしろ「対応が遅く見えるのって事前に法的な裏付けと対策方法を決めてなかっただけじゃないの?」ってのが筆者の感想。そんな中で中国・湖北省に滞在歴がある外国人の入国を拒否するという、前例のない措置に動けたってのは内閣は賢明な判断をされたんじゃないかと思います。

そもそもなんですけど、何か事件が起こったときに議論を始めれば色んな意見や感想が出るのは当たり前です。ってか民主主義の国なんだから当然でしょう。今回の感染症対策にしたって「強制的に検査を受けさせるとか、入院させるとか、人権侵害にならないか?」とか「強制措置をとるための法的裏付けがあるのか?そんなことをして政府機関が罪に問われないか?」「WHOがまだ緊急事態宣言をしていないのに勇み足じゃないか」とか、想像するだけで色んな意見や確認点が出てきそうな話です。

そして日本は法治国家です。なので法的な根拠の無いことは政府といえども実行できません。当たり前の話。法律で決まっていることであれば、淡々と法律に従って処理すれば良いだけの話。本来は早いも遅いも無いはずです。動けないってことは、つまり法律が整備されてないってことです。

むしろ突発的に起こった問題に対して議論無しで法律も無視して対策を決められるって、かなり怖い話です。独裁体制でしょうよ、それ。

日本に限らず、事が起こってから議論を始め、法律を決め始めたら、対策に移せるまで時間がかかるのは当たり前でしょう。

だから民主的な議論を経て問題に対処するためには、”事前に””事が起こる前に”議論を済ませておいて、対策方法を決めておく、もしくは決め方を決めておく、というように準備を済ませておくことが大事です。

日本人は歴史的にこの「起こるかもしれない問題への対処方法を事前に決めておく」ってのが苦手なんです。

何故か?色々な識者の方が指摘されてますけど、言霊の国だからです。言霊ってのは「言葉にするとそれが現実になる」「言葉には物事を現実化する力がある」という一種の信仰心のこと。例えば「受験生の前で、”すべる”とか”落ちる”とか言うな!縁起でもない!」って怒る人っているじゃないですか。要はああいう話です。冷静に考えれば受験の合否と”すべる””落ちる”という言葉を発することって何の関係もないんですが、何となく悪い結果を招きそうな気がして避けた方が良いような気がしてしまう。もし不合格になろうもんなら「お前が縁起でもないこというから落ちたじゃないか!」とか言われそうな気がしません?

こういう “起こって欲しくないことを言葉に出してはいけない” という信仰心が太古の昔から日本には根付いています。伝統的な日本人的な宗教観と言ってもいい。

だから「事前にどんな悪いことが起こるか予想して、具体的な対策を話し合う」ってことがイヤなんです。言ったら現実化しそうな気がするから。理屈じゃそんなことないと分かっていながら、何となく避けたくなるんです。

皆さん、会社でも家庭でも何でも良いんですが、コミュニティの中で “先々問題になりそうな話を徹底的に洗い出して対策を練って対処方法を決めておく” なんて光景を見たことあります?大抵「今じゃなくてよく無い?」「なんでそんな縁起でもないこと言うの?」「起こるかどうか分からない話をするのは無駄じゃない?」とかネガティブな反応が出て、うやむやにしてると思います。ってかそれが伝統的な日本の”普通”です。

逆にそういう”事前に徹敵的に議論して対策を決めておける”会社があれば、それってかなり優秀な会社です。ちなみにここで言っている”起こりそうな問題”ってルーチンの中で起こるような、経験したことがあるような問題のことではなく、前例のない、もしくは前例の極めて少ない問題を指してます。前例があれば対策もある程度分かっているから大きな問題にはなりづらいんです。前例が無いから被害が拡大しやすくなるんです。そういう前例のない問題に切り込んでいけるってのは日本人的にはかなりストレスなので、組織的に取り組めるのはかなりレアケースです。経営者が優秀なのか、有能なスタッフがいるのか、社員がみな優秀なのか、理由は一つじゃないでしょうが、おそらく良い企業でしょうね。

欧米はそういう日本人的言霊思想とは無縁で、合理的に話を進めるので大抵事前に議論して決めています。だから日本より対策が早いように見えるわけです。実際早いんですけども。

更に言うと、日本の会社の中でこういう”起こり得る問題への事前対策”ができる人は周囲と大きく差別化ができます。もちろん周囲と波風立てずに円滑に進めることが大切ですが、そこを突破してやれると一目置かれますね。むしろそういう人が偉くなってるケースもちらほら見受けられます。まあ、大事なことなんだけど大抵の人ができないことなんだからできれば評価されるのは当たり前です。

とまあ、以上は筆者の見方ではあるんですが、何故政府の対策はいつも遅いのか?というか遅く見えるのか?ってことを考えてみると色々な見方が出来て面白いですよ、という話。

今日はここまで。ではでは~。

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