もうずいぶん前から住宅ローン借り換えの広告を見る機会が多くなりました。
今日はそんな住宅ローンの金利について考えたことを書きたいと思います。
だらだらと書きますが、要は可能であれば長期間固定で借りた方が良かろう、ってのが筆者の意見です。
まず、住宅ローン金利のベースになる政策金利の話から。
政策金利と住宅ローン金利
世界の主要各国(と言っても話を簡単にするために米国とユーロの2つに限定して)の政策金利の推移をささっとググって超ざっくりまとめてみました。2000年~2008年、2009年~2017年で分けて書きます。
ちなみに政策金利とは
・フェデラルファンド金利(米ドル)
・ユーロ市場調整金利(ユーロ)
・無担保コール翌日物(日本)
と定義されているそうで、各国で定義が違います。細かく理解するのも良いのですが
ここでは「銀行がお金を調達するときの最安の金利」と簡単に理解しましょう。
銀行はこの金利で借金するんだから、これ以上の金利で貸し付けないと利益が出ません。
住宅ローン金利の推移
つまり銀行が商売でやってる住宅ローンの金利は政策金利に必ず何%か上乗せした値になります。(2019年現在だと変動金利が店頭で約0.4%ってところです。)
2000年~2008年(リーマンショック前)
米国 1~6.5%くらい
ユーロ 2~5%くらい
日本 0~0.5%くらい
2009年~2017年(リーマンショック後)
米国 0~1%くらい
ユーロ 0~1.5%くらい
日本 0~0.5%くらい
リーマンショック後は緊急事態ということで、米国もユーロも政策金利を下げて、借り手がお金を借りやすくしていますが、日本はもうリーマンショック前からずーっと低金利ですね。他国より長期間景気が低迷してて景気刺激を続けてるって話です。
私が注目したいのは、リーマンショック前の米国、ユーロの政策金利。リーマンショック後と比べると、9年間の間で結構な上げ下げがあります。アメリカなんて2003年から2006年の3年間で4ポイントも上げてたります。
政策金利が上がったときのインパクト
筆者は金融の専門家でもなんでもないので細かい話は分かりませんし、その時々で事情は違うんでしょうけども、平常時の政策金利の上げ下げってこんなもんなんだろうと理解しました。言ってしまえばこの程度の金利の上下は普通に起きうる話だろうということ。
逆に言うと低金利が長期間続いている日本の異常さが良くわかります。
で、住宅ローンの金利も当然この政策金利と連動して上下します。
4%の金利上昇がどのくらいのインパクトがあるのか、例を挙げてみます。
変動金利 0.4%で5,000万円を35年ローンで借りたとします。
0.4%のままであれば年間の支払い額は約160万円です。
1~10年目まで0.4%のままで、仮に11年目に4ポイント上昇し4.4%になったとします。
そうすると支払い期間が35年間で変わらないので年間の支払い額は約250万円になり、おおよそ90万円ほど増えることになります。
家計における支出が年間で90万円(毎月にすると7万5千円)増えたらどうなるか想像してみてください。普通の人であれば、車を手放さなきゃいけないとか、それだけでは足りないから食費を削る、小遣いを削って生活水準を下げる、子供が大学を辞めなければいけなくなる、等々何らかの大きな対策を取る必要が出てくるはずです。
今まで同様の生活は続けられなくなる、つまりは生活が破綻するってことです。
(固定金利であれば、35年間支払い額は変わりません。変動リスクは限りなくゼロと考えてOKです。)
10年で4ポイント上がった場合のシュミレーションでこれです。繰り返しますが、アメリカは政策金利を3年間で4ポイント上げています。
日本の政策金利の先行き
日本の政策金利が今後どうなるのか?短期的に急上昇するとは考えづらいですが、中長期的なことは誰にも分りません。わかる人がいたら是非お友達になりたい(笑)。ただ5年や10年低金利が続くということはその間、日本経済の低成長が続くということとほぼイコールでしょうから日本の先行きという意味では望ましい話ではないし、少なくとも政府も日銀も銀行もそんなことは望んでいないです。望んでいるのは長期間のローンを変動金利で組んでいる一般消費者です。(しかし望んでいないと言いつつ、長期間低迷しそうな予感もしますが。。)
金利の先行きなんて誰にも分からない
繰り返しになりますが、5年や10年先の世界の経済状況、日本の経済状況、政策金利、住宅ローンの金利を予想できますか?というか今のように低い金利が続くと断言できますか?少なくとも私は無理です。
個人としての予測、という意味では低い金利が続くという予測があっても全然良いと思いますし、そういった議論は当然のことだと思います。ただあくまで予測なので、信じる信じないは個人の責任です。どこにも保証なんてありません。逆に金利が上昇する保証もありません。どうなるかは誰にも分からない。
そして認識しておいた方が良いのは、バクチをはれるほど普通の個人のリスク許容量は高くないということ。
冒頭で固定金利のほうが良かろうと書きましたが、もっと正確にいうとリスクを許容できないレベルのローン(というか借金)はすべきではなく、リスクをほぼ無くせる固定金利で買えないものは買わない方が良いんじゃないのってことです。
個人が考えるべきはリスク
上記で簡単に計算した通り、変動金利ってのは往々にして許容量を超えたリスクを内包していますし、そんな変動金利でローンを組んで金利を抑えないと買えないような不動産なんて怖いですよ。年間90万円で破綻してしまうほどに、普通の個人が許容できるリスクなんてたかがしれてます。(じゃあいくらまでなら大丈夫なのか、自分のリスク許容量を知ることは大事だと思います。それは共働きなのかどうか、子供がいるかいないか等々、前提条件が人によって全然違うので。)
でもね、不動産業者なんかと話していると変動金利で目一杯借金させて高い物件を買わせようとすることって多いんですよ。そりゃあ不動産屋さんは高い物件を買ってもらった方が売り上げは上がりますから、会社の利益のためにやってることであって間違いではないです。金利が上がると決まっているわけでもないので、結果的に変動金利で目一杯借りた方が消費者側も得することになるかもしれません。実際、凄く優秀な不動産の営業マンほど低い金利がこれからも続くと心から信じているように思えます。というかそんなことどうでもいいし、金利のリスクや先行きのことなんか深く考えてないのかも。売った後の金利のことなんかに責任感じているようでは仕事にならないでしょうし、そんなこと考えずに売れる人の方が営業成績良いでしょうし。
ながながと書きましたが、筆者は金融や不動産の専門家ではありません。ここで書いたことはせいぜいググって出てきた情報を自分で考えて組み立てただけの話です。
逆に言うとど素人でも、よく考えればこれくらいの話は見えてくるってことです。
以上、住宅ローンを借りる際は固定金利にしてリスクを極小化するのが良いのではないか、という話でした。
皆さんはいかがお考えでしょうか。
ではでは。