前回、 「簡単には増やせないけど、欲しい人が増えるもの」って何があるんだろう?と考えてみると今後の世の中が見えてくる気がする、という話をしました。
今日はその話の続きです。
国産ウイスキーのプレミア価格化
白州とか山崎とか、日本産ウイスキーの価格が高騰しているそうですが、そういう話は分かりやすいですね。
40万円の値がついたものもあるとかで、ほとんど投機の対象になってるんじゃないの?ってくらいプレミア価格になってます。
ウイスキーも「簡単には増やせないけど欲しいと思う人が増えるもの」です。
長期熟成の高級ウイスキーって例えば25年物であれば、当たり前ですけど25年かけないと作れないわけじゃないですか。
だから今手に入るものは25年前に仕込んだ量しか手に入りません。今から仕込んでも飲めるのは25年後になります。
良いお酒を飲みたい人が急増し、世界的に評価の高い日本産ウイスキーの価格が高騰したんですね。
こんな状態になるって誰か予測してました?
ヴィンテージファッションアイテムの価格高騰
他にも現代アートとか、世界的に見ればそういう事例は色々あるんでしょうけども、自分の身の回りで気づいたのがヴィンテージファッションアイテム。
1年ほど前にフレームフランス(1940~1950年代にフランスで製作されたメガネフレームを指してこう呼んでいる)を買ったんですが、これも今後価格高騰が起きると言われています。
リーバイスの501とか、ミリタリーアイテムとかも凝っていくと行きつくところはオリジナル、即ちヴィンテージが欲しくなるのが人情です。
501のヴィンテージは有名ですし、近年だとヴィンテージロレックスとか凄まじく価格が高騰してます。
よくよく考えたらヴィンテージって数を「増やせない」んですよね。偽物でも作らない限りは。
しかし長く価値が認められている背景があればファンも増え続けますし、そうすると価格は上がります。
ミリタリーアイテムだとデッドストックのジャーマントレーナーを愛用してますが、これも昨今凄く値段が上がってます。
ヴィンテージメガネ フレームフランス
その筆者が持っている唯一の?ヴィンテージアイテムであろうフレームフランス。
今では規制がかかっていて使えない(らしい)ヌメヌメとした質感のセルロイド生地で作られていて、最新のものとは雰囲気が全然違うというか、ハンドメイドのアートピース的な雰囲気のある品物です。

1年ほど前かな?青山の眼鏡店で買ったんですが、当初は本物のフレームフランスが欲しい!とか強く思っていたわけではなく、単になんとなくクラシックな雰囲気のフレームが欲しいなぁ、と思って眼鏡店を周ってたんですよ。
出来るだけ安くていいのがないかなー、とか都合の良いことを考えながら。
で入ったお店で好みを伝えて色々見せてもらうものの、気に入るものが無いので、あれもイヤこれもイヤって言い続けてたんですね。
めんどくさい客だと思われたのかなんなのか、しばらくしたら奥の方からこれを出してこられて、かけてみたらいい感じ。
そうそうこういうのが欲しかったのよって。
で、購入することにしたんですが、フランス製なので日本人向けの作りになってなくて、鼻当ての部分が凄い低い。
かけられないこともないんだけど、そんなに鼻が高くないので鼻当ては付けなおしてもらった方が具合が良さそう。
なので調整してって頼んだら「ヴィンテージだって言ってんじゃん、あんた分かってる?そのままでもかけられるんだから、直すとかもったいないことしちゃダメ、価値が落ちるから」と説得され初めまして。
いやいやそんなこと言わずに鼻当て付けてよと、すったもんだの末に結局鼻当て部分は削って新たに付けてもらうことになりまして、今は快適に毎日愛用してます。

こちらは1940年代のデッドストック品だそうです。
かけると明治の偉人みたいな雰囲気になりますね。
フレームが太いしアクが強い見た目をしてるので、かけるのにちょっと躊躇するんですが、会社でかけてても意外と違和感ありません。
その偉人感とつながる話ですが、昔のフォーマルな格好でも使われていたものだから、要はフォーマル寄りな形というか真面目そうに見えるんですよ。
派手だけど不真面目な感じにはならないという、ファッション的にはかなり美味しいアイテムです。
そういう意味でTPOを選ばないので大変おすすめ。
で、これをかけて高円寺の古着屋さんをうろついていたら店員さんに「それフレームフランスですか?」と言われて、そこから話が膨らんで色々伺ったんですね。
やってる人(仕入れて売っている人)が今はあんまりいないこととか(有名どころだと日比谷ミッドタウンの「CONVEX」とか表参道の「Solakzade」とか有楽町の阪急メンズ東京の「SPEAKEASY」とか)、今後間違いなく値上がりするであろうこととか。

※ヴィンテージ風メガネのおすすめといえばここ↓、ギュパール。併せて読んでみてください。
ここで話が冒頭に戻るんですが、こういうヴィンテージ品は当たり前ですけど今からは増やせないですよね。
ということは欲しいと思う人が増えれば増えるほど足りなくなる。
いやらしい話ですが、そうなれば間違いなく値上がりします。
欲しいと思う人が増えるかどうかがネックですが、派手でファッショナブルなのにTPOを選ばない(もちろん色とかは選ぶ必要がありますが)ところは非常にポイント高い。
意図的にやっているんでしょうけども「フレームフランス」という一つのカテゴリ名がついて浸透しつつあるのも、ブランド化する上でポイント高そう。
ただ自分で持ってみて思うんですが、本当に1940年代に作られたものなのか、本当にフランス製なのか、自分じゃ判断つかないんですよね。
都内の一等地で複数の店舗を構えるお店で買ったので、よもや偽物とは思っていませんし、見た目が気に入っているので仮に偽物だったとしても気分が悪いですけどある意味どうでもいいんですが。
しかし、ヴィンテージの時計とかと違ってジャンルとして確立されていませんし、目利きができる人がたぶん圧倒的に少ないのでそもそも鑑定できないと思います。
そうするとリセールバリューをどうやって確保するのか、というと「誰から買ったのか」「どこで買ったのか」ということでしか信用を担保できないのかなと。
それだと特定の人しか扱えないってことになるので市場として広がらない気がしますが、どうなんでしょうね。
フレームフランスがどうなるのか、興味深く経過を見ていきたいと思います。
希少性が高くてみんなが欲しいものってなんだろう?
便利さや質の高さにこれから注目を集めそうで、増やすのが困難で希少価値が出そうなものって、何がありますかね?
商売するつもりでなければ、先物買い的な発想で当てに行くのが良い事とも思えないんですが、意外と気づかれていないものがあるかもなー、と思って世の中を見ていると結構面白い。
そういう分析をしようとすると、そのモノの成り立ちや製法まで知ることになるので、モノを見るのが少し楽しくなりますよ。
気付いたら買ってみると、その変化の当事者になるので、もっと楽しいかもしれません。一つの大人の遊びだと思って参加してみるのも良いのでは。
ではでは。