今日はちょっと真面目な話。いやいつも真面目ですよ。今日はお題が社会情勢なので真面目な話という意味です。
このブログ、ファッションとか趣味の話が多めの雑記ブログになってますが、ほんとはこのブログでメインでやりたいのは、 こういったちょっと分かりづらい社会情勢の話を、自分なりに咀嚼して分かりやすく語るってことなんですよ。
なので頑張って分かりやすく語るので是非読んでみてください!
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Society 5.0って何?
メガトレンドの話と絡めて語られる”Society 5.0″って知ってますか?内閣府や経団連が打ち出している科学技術政策のキャッチフレーズなんですが、ググったりWebサイトを見ても夢があるような無いような、いまいちピンと来ない未来が描かれていてよく分からない。
外部リンク<wikipedia ソサイエティー5.0>
外部リンク<Society 5.0 科学技術政策 内閣府>
なんのこっちゃとずっと思っていたのですが、最近ようやく腑に落ちたので、今日はそれを分かりやすく解説したいと思います。
まず人類社会の発展段階を
狩猟採集社会(Society 1.0)
農耕社会(Society 2.0)
工業化社会(Society 3.0)
情報化社会(Society 4.0)
超スマート社会(Society 5.0)
という5段階で表現していて、Society 5.0はこの5段階目の社会を意味しているそうです。いや超スマート社会って何やねん。
社会の発展段階ときっかけになった出来事
狩猟採集社会(society 1.0)ですが、これは分かりやすいですよね。森で木の実をとったり、動物を狩って食料にしていた段階。
次の農耕社会(society 2.0)、これも分かりやすい。農耕が始まって富の蓄積が可能になって文化が発展し、社会格差が生まれ始めたのがこの段階。
1700年代後半~1800年代前半にかけて蒸気機関の発明により第一次産業革命が起き、工業化社会(society 3.0) が始まります。この段階では主に繊維産業をはじめとする軽工業や大きく発展し、手工業の世界から工場での大量生産へ変わました。加えて物資の大量輸送も可能になりました。1800年代後半~1900年代前半に第二次産業革命が起こります。電力を使った機械化が始まり、より複雑かつ効率の良い作業が可能になりました。主に化学、鉄鋼、機械等の重化学工業が発展。象徴的なのはガソリンエンジンの発明でしょうか。
そして情報化社会(society 4.0)。1990年代以降のコンピューターとインターネットの発展による第三次産業革命、IT革命ってやつですね。2019年現在はこの段階です。PCとスマホとネット無しでは成り立たない、現代社会です。
で、超スマート社会(society 5.0)が第4次産業革命によってもたらされるというのがこの話のコンセプト。超スマート社会っていうネーミングがクソださい。呼び方はともかく大事なのは中身。変化のきっかけになるのは、IoT、AI、ビッグデータ、ロボティクス技術です。
第4次産業革命で何が変わるのか?
結局どんなことが起きるのか?何が変わるのか?
まず一つ目は、情報の自動把握。「サイバー空間 」をイメージしてください。情報の記録装置、処理装置、伝送装置で構成されているのがサイバー空間。今の情報化社会では、現実世界の情報がそのサイバー空間の中に取り込まれ、必要に応じて取り出して使っています。スマホに保存した写真を見たり、ググって調べ物したり、サーバーに保管された動画を見たり。
で、それらの現実世界の情報をサイバー空間にインプットする作業は、今は大部分が手動で行われています。ググるときも手動で検索窓にキーワードを打ち込んでますよね。何かの会員登録する際の顧客情報もスマホをポチポチして入れてたり、お店の商品の棚卸とか 機械の中身とか様子とか、工程の状態とか、街の様子とか、自然環境の様子とか、必要な現実世界の情報を人力でピックアップしてインプットしているわけです。端末で読み取ったりとか楽にできるようになっている分野もありますが、それらも楽に出来るというだけで人間が能動的に動かないと情報はとれません。水を手で汲んでるようなイメージです。そうするとコストと手間がかかるので多くの情報は把握できていないんですね。
これが第4次産業革命では「自動で把握してサイバー空間にインプット」できるようになります。勝手に情報を汲んで持って行ってくれるということです。
例えば街角の監視カメラとかは今でも分かりやすいですね。勝手に視覚情報をとっているということです。他にも勝手にドローンが飛んで常に上から街や敷地の様子を見てるとか、体内のセンサーが健康状態を24時間自動でモニタリングしてるとか、そうやって自動的に情報を吸い取っているイメージです。
そうするとたくさんの「センサー」が必要になります。「視覚」になるイメージセンサーとか、「触覚」になる接触センサーとか、「聴覚」になるマイクとか。IoT端末とか、ウェアラブル端末と呼ばれているものがこれにあたります。
そういう「センシング」端末が世界中に溢れるように設置されることで、それらが常にせっせと情報を汲んでサイバー空間に持っていってくれるような、そんな社会です。
二つ目が自動操作と自律動作。従来の現実世界の機械は、人間が操作しているものがほとんどですよね。車は人間が運転していますし、テレビの電源入れるのだって人間が操作しています。照明をつけるのも、電子レンジを動かすのも、人が指示するから機械は動くわけです。
それが第4次産業革命後は、例えば車の自動運転のような自律動作が可能になります。人間があれこれと細かく指示しなくても勝手にいい感じに動いてくれるということ。家の中だと何でしょうね、生活パターンに合わせて勝手に料理を温めてくれたり、エアコンつけてくれたり、テレビつけてくれたり、通販に注文してくれたりとか、そういうことになるのかな。
生産面においては、自動化された機械が農作業をしてくれたり、組み立ててくれたりというイメージです。
三つ目はソフトウェア開発の自動化。情報処理の作業をコンピューターにやらせるにはソフトウェアを作るとか、アルゴリズムを作ってプログラミングしたりといった、情報処理の手順を作成することが必要で、これは基本的に人力で行われています。今はスマホができてアプリが必要とされるようになったりして、もの凄い量のソフトウェアが必要とされていて、この分野の人手不足は顕著です。このままのやり方で続けるのは無理であろうということで、これらが自動化されると予言されており、現在一部の工程の自動化までは実現できているらしいです。
以上、これら3つが色々なところで組み合わせて活用されることで、定型的な動作、操作、仕事の自動化が可能になるので第4次産業革命では人間はそれらの作業から解放されてあらゆる産業の効率と質が向上し、人的リソースは新たな価値の創造に特化できるので、より社会が豊かになる、ということです。
人間の創造性が高度に発揮されて様々な文化が隆盛する
IoTとか、AIとか、ビッグデータとか、ロボティクスとか色々な言葉が飛び交っていて分かりづらいんですがそれらは手段であって、実現されるのは「自動化」と、それによって人間の手が空いてヒマになって「人間の創造性が高度に発揮される社会」と理解すればOK。
内閣府の定義では「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」
経団連の定義では「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」
となっています。これだけ聞いても何言ってるのか分からんのですが、要は上で書いたようなことを言っています。もうちょっと分かりやすく言って欲しいですよね。
凄く大雑把に言ってしまうと自動化によって人間はヒマになるわけです。今まで時間を食っていた作業から解放されるので余暇が増える、はず。
そうするとどうなるかというと、文化が隆盛します。
これは歴史が証明しています。日本の歴史で言えば、江戸時代に実現していますね。社会から戦が無くなって生産性がガンガン上がって豊かになったから、庶民文化である元禄文化が華開いたわけです。歌舞伎とか、人形浄瑠璃とか、俳句とか、浮世絵とか。今に伝わる日本文化ですね。
戦後の日本も同じです。日本でアニメや漫画、ゲーム産業等のサブカル文化が隆盛したのも偶然ではなく、これらは長く戦争の無い平和な時代が続いたからこそ、日本人の持つ豊かな想像力が強く発揮されて生まれた文化です。
人間、生き死にのかかる危機的状況から解放されて、ヒマになれば遊びたくなるものなんですね。なんか楽しいことがしたいなと。
文化の隆盛だけではなく、環境問題等の社会的な課題にもリソースを避けるようになることでもっと社会が豊かになったり、そういうことも価値の創造の意味するところです。
いつ実現するのか?ほんとに実現するのか?
私たちが暮らす日本において、それがどれくらい早く進むのか、いつ頃何が実現するのか、といった話は色々予測もあるし当たりはずれもあるでしょうし、他国に先んじて成功するかどうかは分かりませんが、「そういう方向に進む」ということだけは間違いありません。
日本政府も国を挙げて投資していますし、もちろん他の国でも全力で取り組んでいる話です。なのでこれが日本で実現しないってことは他が機械を使って全自動でやっていることを、人力でえっちらおっちらやらなきゃいけないということですから、やばいどころの話ではないわけです。例えば情報伝達をeメールやSNSを一切使わずに、全部電話かFaxか手紙でやりなさいって言われたらどう思います?何言ってんだこの原始人は?って思いません?原始人で済めばいいですけど、そんな状態で国際競争なんてできるわけがないわけで、それと同じ話です。
どうせ避けられない変化であれば早くやるに越したことはないんです。
先に仕組みとかサービスを確立されちゃったら後追い組はそれを使うしかなくなってしまい、主導権を失ってしまいます。そういう先進的で広く社会に利便性を提供できる産業が生産性の高い儲かる産業なんだから、IT産業において立ち遅れた日本がずっと不況で生産性が低いと言われるのは、ある意味当たり前の話。
今日本で使われているITサービスってほとんどアメリカ産じゃないですか。Googleもfacebookもinstagramもyoutubeもamazonも。スマホなんかも典型的ですよね。iOSもAndroidもアメリカ産。日本でも頑張ってる企業はありますが、大部分はそれらに支配されていて美味しいところはほとんど持っていかれているわけです。
今の日本の産業は旧世代の工業が何とか支えてる状態です。なので次の第4次産業革命の波に乗れずに後追いになってしまったら、そのレガシーも枯渇してくるわけでいよいよヤバくなります。
ぶっちゃけかなりの正念場のはずなんですが、ゾンビ企業は保護されるし、古い産業からの人材流動も進んでいないといった今の状態で競争に勝てるのか、厳しい状況だというのが実態なんじゃないでしょうか。
まとめ
もしこんな社会の実現に価値を感じるのであれば、一個人として実現を後押しするために出来ることってなんでしょうか。その価値観を軸にして色々と選択出来る機会はあると思います。もし会社で意思決定に関わる機会があれば、そういった話に投資するよう働きかけてみるとか、プロジェクトに参加してみるとか。そういう機会がなくても、関心を持って見ているだけでも後押しになるはずです。だからこそ内閣府も経団連も、キャッチフレーズを作って浸透を図っているんでしょう。
以上、賛成するしないは別として、IoTとかAIとかビッグデータとかロボティクスとか良く分からなかったけど、なるほどそういうことか、と思っていただけると嬉しいです。
ではでは。