なんというか凄くおどろおどろしいタイトルですが、今日はメガトレンドの話の続きとして、人口動態の変化と今の米中戦争の話です。
世界の経済の中心地がインド、中国になる
まず人口動態について。人口動態は統計的に確実に予測できる社会変化のひとつと言われています。何故高い精度で予測できるかというと、直近で子供を生めるのは今存在する適齢期の女性だけで、その適齢期の女性は今すぐには増えないから。出生率も普通に考えて数年程度で急激に増減はしませんから、高い確率で実現すると思われます。
ここで参照したいのが、下記のグラフ。アメリカには中長期的な分析と予測を行なっている国家情報会議(National Intelligence Council)という組織があり、15~20年レンジでの世界的なトレンドを予測しています。そこが発表した”Global Trends 2030″というレポートに載っているそこそこ有名なグラフです。

もう一目瞭然で分かりやすい。だから有名なのかも。これは2050年の世界の中間所得層の半分はインドと中国にいるということを言っています。中間所得層とは要するに購買力のことです。細かい話は置いといて物凄く簡単に言ってしまうと、2050年にはインドと中国が経済の中心になるということ。
現在の中国、インドが台頭しているとはいえ、まだまだ世界経済の中心はアメリカ、EU、日本です。なのですが2050年にはアメリカ、EU、日本を合わせても10%程度になり、相対的に存在感が低下します。
加えて、日本等の先進国は少子高齢化が急速に進んでいますが、インド等の新興国では人口は増加して、一定の若年人口及び労働生産人口が維持され続けます。先進国は移民で人口を維持しようとするため、今のヨーロッパの混乱は言うに及ばず、アメリカでも2040年頃には白人が人口の50%を割ると予測されています。
米中貿易戦争は何故起こっているのか?
話をNICのレポートに戻すと、レポートの中ではいくつかのシナリオが提示されているのですが、超簡単に筆者なりにまとめると
・インドは先進国化に失敗する可能性がある。
・なのでアメリカと中国が覇権国家として世界をまとめる必要がある。
・そのためには中国が民主化する必要がある。
というのが重要なポイント。
アジアは、北朝鮮はもちろんのこと、インド-中国、インド-パキスタン、中国-韓国、日本-韓国等々、各国間で色々と問題や火種を抱えていて全然安定していない。日本がしっかりしてまとめられればいいんでしょうけど一度失敗してますし、やっぱりでかい中国が覇権国家としてアジアをまとめないといけない立場にあるわけです。
しかし中華思想というか、華夷秩序みたいなクソ古い価値観で支配!みたいなことをされたら安定どころかまた過去の不安定な世の中に戻ってしまう危険があるわけで、今のところ最も”まし”とされる民主主義の価値観でやってもらわないと困るわけですが、どうも中国共産党には民主化を進めるつもりが無さそう。それどころかその古い価値観で推し進めているようにしか見えない。
なのでアメリカが中国共産党を潰しにかかってるのが今の米中貿易戦争。民主化しないと潰すぞと。”貿易”戦争とかぬるい表現してますけど、戦闘こそやってませんが潰しにかかってるという意味で戦争をしかけてるわけです。香港のデモもアメリカが後ろ盾になってやってるのは明白ですし、この”中国潰し”は与野党関係なく全会一致で支持してますから、トランプの独断とかでは一切なくアメリカの総意でやってるということです。本気で殺しに行ってると。時間が経つとアメリカの国力も相対的に下がってきてしまうし、やるならもう今しかないってことなんでしょう。
どう収束するかなんて分かりませんが、上記の話が背景にあるので個人的な予想では中途半端では終わらせないと思います。先行き不透明とか言ってますが、ある意味明確じゃない?世論が嫌気するか、潰して民主化実現させるまでか、負けるか、のどれかでしょう。なので貿易戦争も香港の混乱も長引くと思います。
結果もどうなるかなんて分かりませんが、国内経済が上手くいかなくなって、汚職が蔓延して内部崩壊ってのが過去何度も繰り返してきた中華王朝のパターンですからね。いつかは崩壊するんでしょうけども、それがいつなのかは分からない。
アメリカが韓国のGSOMIA破棄に本気で怒ったのは何故か?
という状況下で(一応)味方のはずの韓国がGSOMIA破棄なんて言い出したら、そりゃあアメリカは怒りますよね。自分の人気取りのためだけに、宗主国たるアメリカが戦争してる相手が得するようなことをするっていうんですからね。お前空気読めてる?絶対許さん!となるに決まってます。
まとめ
暗い話になってしまいましたが、そんなこんなで世界経済の中心地はこれから徐々にアジアに移っていき、米中戦争はしばらく続くでしょうという話でした。
次回も少しこの話が続きます。