今日はフランス軍の名作パンツM-47の話。
このM-47、以前も持ってたんですが、今年の頭に改めて買ったんですよね。
昔、もっと安かった時期(10数年前)に買って、気に入って履いてたんです。そしたらある時嫁さんに
「宇多田ヒカルがはいてたやつだwww」
って言われ、なんとなくしょんぼり(´・ω・)したので、ヤフオクで処分しちゃったんですよね。
つーか宇多田ヒカルが着てた(“Automatic” のMVではいてたやつね)とかよく気づいたな、嫁よ。言われるまで分からんかったわ。
まあ確かに当時は、こんなのはいていると「ベッカム意識してんの?www」とか言われそうなイメージもありましたし。。
しかし最近また、ワイドパンツのトレンド化に伴って、M-47が注目されてると聞き、たまたま良さげなサイズも見つけられたので、「今しかねぇ」と思って改めて買ったんですよね。
気に入ってヘビロテしてるんですが、最近は1歳の娘とおそろいのコーデがしたくて、M-47っぽい子供服がないかと物色中。
1歳児が着られるヴィンテージミリタリー服とかあればいいんですけど、あるわけないし(・ω・)。乳幼児の兵隊さんとかね、3時間ごとにミルクを要求してくるんですかね。飲み終わったらおむつを替えろとうるさいんでしょうね。なんかいいですね(何が?)。
せっかく気に入って履いてるので、何かの参考になれば良いなと、M-47のサイズ感とか着用感とかをレビューします。
Contents
フランス軍 M-47とは?
1940年代から1960年代に作られ、フランス軍で実際に使用されていた軍パンのこと。
ファッションアイテム的な意味で超有名な、ユーロヴィンテージの代表格みたいなアイテムです。
正式採用されたのが1947年なので「M-47」と呼ばれています。
作られた時期によって細かい仕様の違いはあるものの、大きくは前期型と後期型に分かれているのが特徴。
M-47 前期型と後期型の特徴
前期型は作られたのが1950年代くらいからで、トップボタンが2つ、生地がコットンツイルで、シルエットはワイドストレート。
後期型は作られたのが1960年代で、トップボタンが一つ、生地はコットンのヘリンボーンツイル、シルエットはワイドで若干テーパードがかかってます。
しかし前期と後期の間に、両者の特徴が混ざったような移行期モデルとかもあったりして、作られた時期(4~5年くらいのスパン?)によって、調べだすときりがないくらいに細かく仕様が変わっているらしい。
お店に並んだM-47を見てても、生地の色味なんかも個体によって違うし、同じものってほぼ無いんじゃないか?ってくらいに個体ごとに少しずつ違っていたりします。
現場からの要望で細かな改良を加えたり、コストダウンを図ったり、資材の調達先が変わったり、縫製工場が変わったりとか、様々な背景で違いが生まれたのでしょうけど、そういう背景を調べていくのも面白いというか、男の(しょーもない)マニア心をくすぐって集めたくなるのも、ミリタリーアイテムあるあるでしょう。
ちなみに個人的な意見ですが、使い易いのは後期型でしょうね。
前期型はズドンと太いストレートシルエットですし、全体的にヴィンテージ感が強め。後期型の方がテーパードがかかっていることもあって、現代的な印象なので、今の洋服とも合わせやすいです。
M-47 サイズ表記とサイズ感
サイズ表記がちょっと分かりづらいので注意が必要。
M-47のサイズは、2桁の数字で表記していることが多く、左(十の位)がレングス、右(一の位)がウエストサイズを表しています。
サイズ21なら、レングス2で、ウエスト1
サイズ35なら、レングス3で、ウエスト5
サイズ43なら、レングス4で、ウエスト3
数字が大きいほど、サイズも大きくなります。
アメリカ物とかだと、”Small-Short” って感じで “ウエスト-レングス” の順での表記をよく見かけるので、逆ですね。
古着屋さんで見ていると、最近はなんとなく35サイズが置かれていることが多い様子。一時期前はそんなことなかったように思うんですけど、なんでだろう?どっかで発掘されて大量に出回った、とか?
逆に11、21、12とかの小さ目サイズは希少で、ほとんど見かけない。華奢な人ならこれくらいがおそらくちょうどよいのですが、見かけても3万円を超えるような値段になってたりして、ちょっと厳しい。。
筆者が最近買ったのはサイズ43の前期型で、お値段16,000円。
サイズ43なのでレングスは “4” 。”4″ だとかなり長くて実寸で股下82cmくらい。裾幅は26cmくらいなので、かなり太めのワイドパンツです。
当然裾は余りますが、ロールアップして履けば問題無し。あんまりレングスの長さはそこまで気にしなくて良いかなと、個人的には思います。
問題はウエストサイズ。
サイズは43なので、ウエスト “3” の実寸は平置きで43cmくらい。
ユニクロのチノパンのMサイズがだいたい42cm~43cm程度なので、日本サイズのM~Lくらいのイメージ。
筆者は身長177cm、体重67kgで、普段履いているパンツはMだとウエストが少~し緩いくらいのサイズ感。
なので実寸42cm~43cmなら、少しベルトで絞れば全然OKなので、ちょうど良い感じです。
M-47はノープリーツでハイウエスト気味のパンツなので、腰だけベルトで絞れば程よいフィット感になり、むしろいい感じですね。
ウエスト “5” だと平置き実寸で46cm~48cmくらいなので、日本サイズだとL~XLくらいになります。
最近よく見かけるサイズ35だと、ほとんどの人にとってはウエストがガバガバでしょう。ベルトで絞れば良いのですが、わたりや裾の幅も比例して大きくなるので、かなりド迫力のパンツになります。
M-47はシルエットが綺麗なので、そういうデカすぎ状態で履いても全然良いのでしょうけども、ちゃんと綺麗に見せようとすると、靴やトップスとのバランスとか、クッションのつけ方に気を配ったり、ちゃんとセンタークリースをつけて履く等、着こなしのテクニックが必要な、上級者向けアイテムになると思います。
洋服全般に言えることですが、逆に言うと、コーディネートのテクニック次第でサイズ感なんてどうにでもなる、という話かもしれません。
M-47みたいな古着を着ようとするときに顕著に分かりますが、サイズが合わないものをどうやって着こなすのか、と工夫することが、洋服を楽しむ醍醐味の一つなんだろうなと思います。
ウエスト “5” でも着こなしに自信があれば全然ありじゃないかなと。
とまあ、実寸だとこんな感じなのですが、更に問題なのは個体差がめちゃくちゃでかいこと。同じウエスト3でもやたらブカブカだったり、ウエスト5でも意外と収まりがよかったりすることもあるので、サイズ表記があんまりあてにならないんですよね。
なので通販で買うよりは、実際にお店で試着してみることをおすすめしたいです。
フランス軍 M-47 がファッションアイテムとして優れているところは?
まずは何といってもシルエットがきれいなところ。
後で着画も載せているので、そちらを見て欲しいのですが、ハイウエストの腰回りからお尻にかけてシワなく綺麗にフィットしていて、そこから裾までストンとまっすぐ落ちて綺麗なシルエットを形成しています。


そしてよく言われるのが、フランスの縫製技術の高さを示すために、1998年のAWコレクションでマルジェラが、裏返してポケットの切り込みを入れたM-47をモデルに履かせてランウェイを歩かせた、というもの。
縫製技術の高さが素晴らしい、と言われてもちょっとピンと来ない。縫製技術の高さって何?っていう。
実物を手にして、良く見てみると分かるのですが、細かいところまで作り込まれていて、要は物凄くこだわって作られているんですよね。

目立たないような作りになっていて
ちゃんと閂止めも施されていたり

キレイに周りが始末されていたり

モノを入れて膨らんだときも想定して
ボタンが2セットついていたり
マチ部分が別パーツになっていたり



布の端もちゃんと内側にたたまれて始末されていたり

わざわざ布の端を袋の内側に入るように二重で縫ってあり
その縫い目が表側と変わらないレベルで
あらゆる箇所がきれいに縫われていたり
という感じの、こだわりよう。強度を持たせるためという実用上の目的のためでしょうけど、それにしたって裏側の縫製が表側並みにキレイとか、そこまでしなくても、もうちょい適当でいいじゃないの?っていう。
今でもデッドストック品が出回るくらいに大量に作られたものにも関わらず、細かなところまで手を抜かずに作られたものだからなのか、安っぽさが無いというか、情報の密度が高いというか、存在感があるんですよね。
更にシルエットがめちゃくちゃ綺麗なので隙が無く、服マニアも喜ぶ逸品なわけです。
これだけこだわって作りこまれたパンツを新品で買おうとすると、最近だと3万円以上が相場だと思いますが、16,000円(税抜き)で手に入るのが、古着のいいところ。
半額くらいで買えるってことですからね。古着とはいえデッドストック(未使用品)なので、使用済み品より抵抗感も感じづらいでしょうから、良い選択肢なんじゃないかなと思います。
(最近は市場価格も上がってきて、だんだんとお得感が薄れてきていますが。。)
コスパ的にもおすすめしたいM-47
古着がコスパがいいなんて当たり前の話ですけど、M-47とかの超定番品はそれが顕著なんじゃないかと思います。
転売して大きく稼ぐのは難しいでしょうけど、数年後にメルカリで売ったとしても7~8割程度は元がとれそうなくらいには、価値が維持されているんじゃないかと思います。
ってか70年前のデッドストックのヴィンテージアイテムなんて、商品の鮮度もくそもないわけで、シーズン毎にセールで割引してでも売り切らなきゃいけないような、ブランドの新作とは根本的に違いますからね。
トレンド的な意味で商品の鮮度はあるんでしょうけど、数か月単位で変化するものでもないから、価格の上下も数年単位の話でしょう。
ヴィンテージ品って “今からは作れない” ので、欲しい人が増えれば必然的に “足りない” 状態になります。どういうきっかけで世間で人気が出るのかは分かりませんが、モノを好きな、モノのファンってのはいつの時代も一定数います。
投機に走れ、なんていやらしいことを勧めるつもりは全く無いのですが、こういう視点でモノを見るのも、大人の趣味的にもありなんじゃないかと思います。
フランス軍 M-47 前期型のコーデと着こなし方の補足
最後に筆者の着画です。パンツはM-47前期型、サイズは43。

ジャケットはMaison Margielaのノーカラージャケット
インナーはユニクロのラムウールニット
横から見るとM-47の太さが良くわかります

ジャケットはMaison Margielaのノーカラージャケット
インナーはユニクロのエアリズムコットンTシャツ
靴はMaison Margielaのタビブーツ
極太のM-47でもセンタークリースをつけて履くと
正面から見た時はそこまで太く見えません

身長177cmでレングスはサイズ4
2回ロールアップしてこのくらいの丈感です
落ち感の無い素材なので、丈感はノークッションにして裾周りに皺がでないようにすると、比較的綺麗にはけて、着こなしが簡単になります。
合わせるアイテムも、モノトーンのシャツとかジャケット等、クリーンなアイテムを合わせるのが簡単でおすすめです。
ヴィンテージ感が強めのド迫力のM-47なので、できるだけクリーンに、かつパンツが主役になるようにしてあげると、良いかと。
靴は革靴がテッパンでしょう。
ツイードのジャケットやベストと合わせるのも、おすすめです。
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以上、フランス軍 M-47のレビューでした。
今日はここまで。ではでは~。