電機業界と会社の話

コロナがきっかけで起きているパラダイムシフト

いつの頃からか良く聞くようになった “パラダイムシフト” っていう単語。

特に日本の電機業界の界隈はパラダイムシフトについていけなくてボロボロになった会社ばっかりなので、反省の意味もあって電機業界の皆さんは研修とかでも叩きこまれてるのではないだろうか。

で、この “パラダイムシフト” って言葉、一応意味を書いておくと、


 “パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。

“Wkipedia”より引用

という意味。

要は常識だと思ってたことがガラッと変わることを言っているんだけども、ポイントは徐々に変わるのではなく何かをきっかけに急激に変わるってところ。特に今まで必需品だったものが急に要らなくなることを指していることが多い。

例えば、音楽ビジネスだったら、曲をネットでダウンロードできるようになってCDとかMD(古い)が一気に必要無くなったり、携帯電話が普及したことで公衆電話が必要なくなったり。電話ボックスとかあったよね、昔は。

パラダイムシフトの何が怖いって、急に需要が無くなるもんだからそれを作ってる会社は急激に仕事が無くなってめちゃめちゃ困るわけです。

象徴的なのが我らが日本の電機業界で、変化についていけなかったために業績悪化が止まらなくなり、大きな会社が潰れたり、事業再編とかが日常茶飯事みたいになっちゃった。

しかも恐ろしいことに電機業界界隈の変化は今も絶賛進行中なもんで、この凋落はまだまだ止まらないと思われる。

で、今日は最近身近で起きてる「これパラダイムシフトだよね?」って話を2つほどピックアップしてみた。

不動産業界で起きているパラダイムシフト

先日超久しぶりに会社のオフィスへ行ったんだけども、聞いてた通り座席はガラガラ。

もちろん工作機械だったり測定装置が必要な仕事をしてるエンジニアの部署はそこそこ出社してるんだけど、ソフトウェア系のエンジニアとか間接系の部署はフロアに電気すらついてなかったり、出社している人がほとんどいない。

まあ自分もそうなんだけども、長期間在宅勤務を経験して自宅で大抵の仕事が処理できてしまうと分かっちゃったので、正直会社に来る必要が無いわけです。

コミュニケーションが少なくなっちゃって先細り感は感じるので、このままでいいとは思わないんだけど、それはそれとしてガラガラのオフィスを見て誰もが感じるのが「オフィスっていらなくね?」ってこと。

都心のオフィスとかさ、高い家賃を払ってほとんど使われてないとか、空気にお金払ってんの?っていうマジでギャグみたいな状態なわけですよ。

少なくとも自分の勤める会社では、もうかつてのような全員出社の状態には戻さないだろうし(毎日出社しろなんて言っても上から下まで大勢反対しそう)、どう考えても今までと同じ規模のオフィス面積を維持する合理的な理由が見当たらない。他にも似たような会社は多いだろうと思う。

なのでオフィス需要は間違いなく縮小するでしょう。

これぞまさにパラダイムシフト。余計なお世話でしょうけど、オフィスの賃料で儲けてた不動産業者どうすんの?と思う。不動産業者だけじゃなく、ビルメンテナンスとかオフィス機器とか、なんだったらファシリティの整備をやってる総務部門とかも、当然仕事減るよね。

特にあれ、もうすぐ死ぬって言われてた複合機(コピー機)のビジネスとか。オフィスに行かなくていいように、ハンコ文化を無くせと政府が号令かけてるし、ペーパーレス化も一気に進める流れになってて、うちオフィスの複合機なんかもはや動いてんのかコレ状態。オフィス需要より先に無くなると思う。

ただ、コロナっていうきっかけで一気にパラダイムシフトが進んだ感はあるんだけども、これまでもテクノロジーが進歩すればテレワークはできるようになると言われていたし、っていうか今でもできるんだからテレワークにした方が合理的だよね?なんて話は普通に言われてた話。

だからコロナってのはきっかけに過ぎなくて、無駄だ、非合理的だと思われてたことが順当に淘汰されて、オフィス需要の縮小は必然的に起きた変化なんだと思う。

個人的に強く思うパラダイムシフトのポイントはここ。

つまり、パラダイムシフトってのは誰も予測してなかったことが前触れなく突然起きるわけではなく、アンテナ立てて考えてれば「こうなるだろうなー」と当たり前に予測できるんだけど、それがいつ実現するのかがはっきりとは分からないっていうことが、何かをきっかけに爆発的に現実化するという、そういう話なんだろう。

だってテレワークの方が便利だなんて分かってたことじゃん?ちょっと想像すればそりゃー分かるよね。

コロナが無くてもいつかはテレワークが普及してたし、オフィス需要も縮小してたはず。

これから教育産業で起きるであろうパラダイムシフト

まだ表面化してない感じはあるけど、教育現場のパラダイムシフトは急激に進むんじゃないかと思われる。

具体的には学校の先生ってこんなに人数必要か?要らなくない?って話。

だって極端な話、授業なんて日本全国の教室をオンラインでつなげてしまえば、各教科ごとに一番教えるのが上手な先生が一人居れば済むでしょう?

というか教えるのが下手な教師に授業をやらせるよりその方がよっぽど合理的。アホに習うより可能であれば実績のある人に習いたいと思うでしょ。

体育とか集団行動的なしつけとか生活指導みたいな話は現場で対面じゃなきゃ不可能だろうから、学校教育の全てがオンライン化はしないだろうけど、
数学の先生とか、英語の先生とか、物理の先生とかで教科書をなぞるだけの授業をやってる先生は必要無くなるでしょう。要らないもん。

生徒のレベル別で先生が違うとか、分野や範囲によって違う先生がやるとか、より効果的で最適な方法はあると思うけど、少なくとも教室で対面を前提にした人員構成は必要無い。

先生がその場に居ないと集中して授業聞かないでしょ、って?自分の胸に手をあてて考えてみましょう。先生が居ても聞かないやつは聞かないし、勉強しない。それにそういう生活指導的な役割の先生が必要なら、ごつい体育会系の教師を一人張り付かせておけば済む話。

もっと極端な話、自習できるレベルの学生であれば座学はYoutubeで録画した授業を見るだけでも十分なのだ。そうすると、自習できるレベルの偏差値が高い学生はYoutubeでもオンライン授業でも何でもテクノロジーを使って通学時間やお金もかけずに低コストで学習する一方で、自習する能力が無い子は学校に通って教室に軟禁されて高コストの対面授業を受けなきゃいけなくなるのかもしれない。

偏差値が高い子は低コストで勉強できて、偏差値低い子は高いコストをかけなきゃ勉強できないっていう傾向は今でもあるんだけど、テクノロジーの進歩は放置してるとその傾向が強固になってして、教育の機会均等が悪化し、格差がどんどん広がるという怖い話でもある。

だからこそ公立の学校こそ、さっさとオンライン化して合理的で質の高い授業を提供しなきゃいけないと思うんだが。。。

そしてこれだってコロナで急に分かった話ではない。

オンラインで授業を合理化するとか、今までだって普通に存在してた話である。むしろ予備校とか民間は既にやってる話。

コロナをきっかけに突然オンライン化の話に直面せざるを得なくなっただけの話で、いつかは対応しなきゃいけないことなのである。

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オフィスとか学校教育の現場を例に挙げたけど、そもそもパラダイムシフトって大げさに聞こえるけど、実際は頭をフラットにして普通に自分の頭で考えれば当然分かる話ばっかりなのである。

そういう目で世の中を見ると、世の中が変わる方向なんてそんなに難しくなく予想できるものなんだと思う。

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