働き方を考える

つながりを大切にする現代の価値観と社会のトレンドについて考えた話

先日投稿した儲かっているのにリストラする大手企業の話に絡んで、今後の社会トレンドと現代社会の価値観について考えている中で、次の話が非常に腑に落ちたのでご紹介。

つながりを大切にする現代の価値観

著者の三浦展さんは近代の日本社会と文化について非常に示唆に富んだ本を書かれているのですが、以下その中の一つ「人間の居る場所」からの引用です。

“広井良典さんの『コミュニティを問いなおす』という本は、私が過去五年ぐらいに読んだ中でベスト5に入る本なんですが、その中で近代っていうのは時間軸優位の時代で、空間軸がないという話が出ている。つまり、今よりも明日がいい、明日よりも明後日がいいという時間軸が非常に強い時代。しかし近代化というものが終息してくると、別に明日は今日よりそんなによくならないねとか、もしかすると前のほうが良かったねということになってくる。すると今度は逆に空間の軸が重要になるというんです。

具体的には、コミュニティみたいなものが重要になってくると。それを踏まえて、僕はマーケティングの観点、特に常に若い人の新しい感覚を捉えてきた経緯からいうと、今の若い人が求めているのは「縦のつながり」と「横のつながり」だと思うんですね。”

  出展元:三浦展 著(2016)「人間の居る場所」而立書房 54ページ~55ページから引用

ここで言っている横のつながりとは、主に人間関係のことを指していて、家族、仲間、地域、地元が大事とか、日本が好きとか、そういう横の人間のつながりのこと。縦のつながりというのは要は歴史。近代的というのは過去はどうでもいいと否定して未来しかみないけど、そうではなくて過去のルーツや伝統があって、そこから連続して現代があって将来があるという、そういうつながりに価値を感じるという話。

昔の封建的な気風の中で育った人からすると、大家族は封建的だからダメで核家族が良くて、家族主義も個人の自由を妨げるからダメで個人主義が良い。かつ過去のしがらみに囚われるのは良く無くて未来志向であるべきだ、って感じで前に進むためにどんどんそのつながりを切っていくこと自体に価値があったんでしょう。砂粒みたいな個人、とかよく言われますけど、昭和の高度経済成長がまさにそれを志向した時代です。

しかし近代に生まれた比較的若い人間からすると、生まれた時からそういうつながりが無い時代しか知らないわけで「つながりを切っていく」ことに価値なんか無いわけです。「つながりを切ることで明日が良くなる」なんて言われても全くピンと来ない。むしろそういう失われたつながりを求めるのが自然な行為になっています。

東京オリンピックのための開発がどこか嘘くさく、白々しく感じる理由

「右肩上がりで今日より明日が、明日より明後日が良くなる」と信じられるかどうかが、重要なポイント。人口が減って社会が高齢化する中で資源をガンガン使いまくって開発しまくれば豊かになるとか、そんな風に思えます?少なくとも筆者は全く思えません。

普通に考えてもう十分に便利になったし、モノの不足に悩まされることは無いし、もっと豊かに便利になるとか言われてもピンと来ない。言いようのない閉塞感は感じるし、現状に満足はしているわけではないけれども、そういう近代的な価値観と手法で開発を進めれば未来が良くなるなんて全然思えない。

だから今まで切られてきてしまって存在が希薄な横のつながりと縦のつながりに解を求め、日本の良さを見直そう、歴史を見直そう、コミュニティを作ろう、地域のつながりを取り戻そうという方向に価値観が動くのは必然なんだと思います。

筆者自身も強くそう思いますもん。というか物凄く自然で健全な話だと感じます。

今やっている東京オリンピックで東京を再開発、って話をどこか白々しく感じている人は多いと思います。特に若い人は。それもある意味当たり前で、この再開発が極めて近代的な発想でやっているからなんでしょう。こういうビッグイベントが無いと大規模な再開発をやるコンセンサスが得られないから、というのは分かるのですが、逆に言うとこのレベルの推進力が働かないとやれない話だってことは時代が求めているものとは違っているということなんでしょう。話が逸れますけど、2020年東京オリンピックが日本でやる最後のオリンピックになるような気がします。もう一回やりたい!とか思えなさそうじゃない?みんな色々ともう懲り懲りでしょう。

ヴィンテージの価格高騰の背景

以上の話は日本だけに限った話ではなく、先進国を中心に世界中で起こっている価値観の変化です。旧態依然とした開発では未来が良くなると思えないというのは、先進国の若い世代で共通した感覚です。

めっちゃ話が飛ぶんですけど、服とか小物でも新品が売れない中でヴィンテージの価格が高騰してるっていうのは、こういう風に世相を捉えれば当然の流れだと理解できます。

ルーツとか伝統的なものとか、クラシックなものに価値を感じる人が増えてるってことですから。しかもその価値観はウェブ、スマホ、SNSの普及によって瞬時に共有されますから、憧れる気持ちが爆発的に醸成されて一気に需要は増えます。需要は増えるけど二度と生産できないものだから球数は限られるわけで、そうすると必然的に価格は上がります。

温故知新というか、新しいものであってもどこかクラシックなところにルーツを感じさせたり、伝統に根ざしていたりといった背景が無いと価値を感じなくなることが多くなるでしょう。

労働についての価値観は今権限を持っている人達が引退しないと変わりづらいので、10年くらいかかって大きく変化すると思いますが、こういうのは消費の話ですからそういう話は関係ない。なのであっという間に進むと思います。

俗っぽい話で恐縮なんですが音楽とか美術品とか服とかの文化に絡んで、世間的に分かりやすくて正統とされる価値のあるものって(たぶん)価格が高騰すると思うので、もし持っていれば捨てずに持っておきましょう。(ヴィンテージロレックスは言うに及ばず、バーバリーのコートとかも絶賛価格高騰中。)

10年後の社会トレンド

社会トレンドというのは人々の価値観の変化がもたらすものですから、若い世代の価値観の変化を追っていけば、ある程度の予測はできます。

まあ大雑把なものではありますが、10年後どうなっているのか?について次の記事で予測を語っていますので、是非併せて読んでみてください。

今日はここまで!

ではでは~。

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