ファッションの話

おすすめしたいストール THE INOUE BROTHERS(ザ・イノウエブラザース)のアルパカストールをご紹介

今回紹介したいのは、THE INOUE BROTHERSのアルパカストール。

THE INOUE BROTHERSは2014年に設立され、筆者が記憶する限りでは3~4年くらい前から一部の高感度ショップで扱われ始め、近年取り扱い店舗も増えつつある注目のブランド。「共存共栄」「フェアトレード」「ソーシャル」「サステナブル」といった単語で象徴されるそのブランド哲学やバックストーリーが注目されることが多いブランドなのですが、今回の記事では筆者が実際に使ってきた感想や、製品にフォーカスして紹介したいと思います。

アルパカ素材の特徴とは

アルパカとは南アメリカ大陸原産の家畜で、その毛はカシミヤと並び称されることもある希少な高級素材。

すごいどうでもいい話ですが、アルパカには威嚇や自己防衛のために唾液を吐きかける習性があって、この唾液の中に消化されていない食物も入ってるので凄い臭いそうです。

アルパカの毛の品質を表すときにベビーアルパカとかロイヤルアルパカ、といった言葉を良く目にします。特に「ベビーアルパカを使用した~」という商品アピールを頻繁にみます。ベビーアルパカとは、生後3か月以内のアルパカの毛だとか、生後6か月以内のアルパカの毛だとか、いやいやそうではなくアルパカが生まれて最初に刈った毛だとか、諸説あるようで良く分からない。

で、比較的信用できそうな情報によると、いつ生まれたアルパカだとか生まれてから最初に刈った毛だとかは関係なく、クオリティはあくまで繊維の太さで定義されるものだそうです。たしかに、そりゃあそうかなと。消費者目線からすれば、肌触りや丈夫さとか保温性とか、使ったときの機能性が大切なのであって、大人の毛であっても細くて品質が高ければ良いわけで、必ずしも生後何か月の子供のアルパカだとかは関係ない。一般的に繊維はその太さで機能が変わることが多いので、太さで等級分けされているというのが極めて当然の話だと思えます。

ちょっと話がそれるんですが、こういう間違っているであろう情報を商品紹介に載せている業者を筆者は好きになれません。子供の毛だと言えば何となく繊細で清潔感があっていいものみたいに聞こえるんじゃね?ってことなんでしょうかね。ユーザー目線で等級分けの基準が設定されているのが普通、とか他の繊維原料と同じ基準で考えるのが適切なはず、とかちょっと考えれば分かる話だと思うんです。悪意を持って言っているのは論外だとして、ちょっと考えれば変だと思える話を聞きかじっただけで検証せずにそのまま載せてるような業者を信用できますか?

好き嫌いの話というか価値基準の話なので、共感できる人もできない人もいると思うんですが、皆さん仕事をしていて「適当なこと言ってんなこいつ」という相手を信用できますか?健全な会社や業界であれば、信用を無くして商品を買ってもらえなかったり、いい加減で仕事できないやつ、という評判がたつと思うんですよね。

なので筆者はそういう業者の商品を買おうという気にはなりません。トラブルがおきたり、トラブルへの対応が適切でなかったりする可能性が高いので。どこにでもある商品の宣伝からも、ある程度の情報リテラシーを持って読めば、業者の信頼度は見えてくるということなんだと思います。

メーカーとしては信用できる売り手をパートナーにするってのは大変重要なことなんですよね。

めっちゃ話がそれましたが、アルパカのクオリティの話。以下のように太さでランク分けされるそうです。

 ・スーパーファインアルパカ:25.5μm~26.5μm

 ・ベイビーアルパカ:21.0μm~23.0μm

 ・ロイヤルアルパカ:18.9μm~19.0μm

 ・インペリアルアルパカ:~17.3μm

洋服に使われる最低クオリティがスーパーファイン。ユニクロのニットで有名なエクストラファインメリノウールが18.5μm~19.5μm(SUPERだと100’s)なので、これがアルパカだとロイヤルに相当するということですね。カシミヤは14.0μm~16.0μmなのでアルパカで最も細いインペリアルより更に細い。要はですね、ウールやカシミヤと比べて太い繊維だということ。

しかし、太いんだからウールやカシミヤと比べて単純に低品質なのかというとそうではなく、アルパカは繊維表面のスケール(うろこ)がウールやカシミヤに比べて小さく開きづらい性質を持っているので、滑らかで光沢がある。更にウールやカシミヤと比べて繊維が長く、生地にしたときに繊維の端の部分が少なくなるので、肌触りも良くなるという特徴があります。

スケール(うろこ)が小さいので圧倒的に毛玉にもなりづらく、繊維は太いので丈夫。つまりはウールやカシミヤと比べて寿命が長く、長持ちするということ。細いウールやカシミヤって、手触りは物凄く良いんですが、脆いんですよね。ずっと使ってるとうすーくなってきたりしますからね。

太いが故の手触りのビハインドはスケールが小さいことでカバーし、丈夫で長持ちするという、なかなか優秀な素材。ちなみにスケールが極めて小さいので繊維同士が絡まることが極めて少ないため、洗濯機で洗えます。

そして何より保温性が高い。毛の内側に空洞があり暖かい空気が溜まる構造になっており、大変保温性に優れています。アルパカって大変寒い南米の高地で育つので、その過酷な環境に対応するための毛の構造になっているということですね。実際にアルパカストールを使っていても圧倒的に暖かく感じます。何なら首回りに汗をかくくらい。

とまあ長々と書きましたが、手触りはカシミヤや極細ウールには劣るけども、強い光沢と保温性、丈夫さが優れているという素材です。

ザ・イノウエブラザーズ マルチカラーストール

そんなアルパカを使ったニットウェアを提供しているTHE INOUE BROTHERS。他にもアルパカを使った製品は多くありますが、ここの製品はそれら中でも大変高品質かつ、品質の割に価格安い。そんなTHE INOUE BROTHERSの製品の中でも筆者が勝手に名品だと思っているのが、このマルチカラーストール。ブランド設立当初からリリースされている、ボリビアの伝統的な柄をベースにしたシグネチャーアイテムです。

THE INOUE BROTHERS
定番のマルチカラーストール
ずっと使ってますが全然風合いが変わらない
丈夫な素材です

85cm×200cmの大判ストールで、使われているのはスーパーファインアルパカ。なので結構太い糸でできており、ぶっちゃけちょっとちくちくします。しかし丈夫。もう4年くらい使っていますが、全然風合いが変わらない。そしてめっちゃ暖かい。

不思議なことに、ちくちく感が少しあるのに触り心地は柔らかでしっとりとしていて、なめらかなんですよね。それが繊維が長くてスケールがほとんどないが故の特徴なんでしょうね。

他にもベビーアルパカを使ったストールを作っていますが、これだけがボリビア製なんだとか。現地で手織りされたもので、作る際にはブランド側はベースの色だけを指定して、柄の配色は現地の織り手に任せて作られているそう。どことなくエスニックな雰囲気を醸し出しているのはそういった背景があるからなのか、アルパカ原産地の伝統へのリスペクトが込められたイノウエブラザーズならではの逸品です。

マルチカラーといっても抑えめのトーンだし、色の面積もそんなに大きくないのでコーディネート的にもそんなに悪目立ちしません。筆者は冬はずっと無地のロングコートを着ているので、ちょうどよい抜け感が出て重宝しています。何よりこの柄、優しい雰囲気があるじゃないですか。そこがいいんですよね。冬のコーディネートって重くシックになりがちですが、これを首から垂らすとすごく優しい雰囲気を醸し出してくれます。

その優しさがブランド哲学に通じるところを感じさせてくれてイノウエブラザーズっぽさが強く出ているというか、そのあたりが名品と感じる所以かなと思います。

購入の際には無地のストールを買うつもりでお店に行ったのですが、試着した瞬間に「おおこれは」と痺れまして、買った次第です。お値段約30,000円と結構お高いんですが、その価値はあります。

筆者着用画像
黒いコートとかミリタリー系のコートとか
男らしさを中和するのに良いですね
優しくしてくれます

ちょっと年をとってきて、もう若者とは言えなくなってきた年代の男性って、年とともに少し顔つきも怖くなってきてると思うんですよ。良くも悪くも。ちょっと雰囲気を優しくしてくれるこのストール、女性はもちろんのこと、そんな男性におすすめです。

巻き方色々
結局ラフにぐるっと巻くのが一番良いかな

アルパカ 無地ストール

とはいえやっぱり一番使い易いのは無地のストール。ショップによって色々な種類のものが売られているのですが、大きく分けて、30cm~35cm×180cm程度の小ぶりのものと、70cm~80cm×180~200cmの大判のものに大別できます。おすすめは間違いなく大判のもの。大きいんですがしっかりと密度があって比較的薄い素材なので、これくらい大きい方が巻いたときにのボリュームが程よく出ます。厚手のウールのものだと異様にボリュームが出てしまうことがありますが、これはそんなこともなく、ちょうど良く収まります。というかこれ大判でないとアルパカだとボリュームが出てくれません。

 参考リンク<BLOOM&BRANCH webshop>

そしてマルチカラーのものとの違いは色柄だけではなく使われている素材が違っており、無地のものはベビーアルパカが使用されています。なので肌触りがより柔らかで、ちくちく感はほとんどない。さらさらっとしてて触ればその品質の良さがよく分かります。マルチカラーより万能感がありますし、お値段も19,000円ほどでよりリーズナブル。プレゼント用に最適な品物です。

ってかね、この大きさ、この品質で19,000円ってのはかなりお買い得です。今年もサクッと完売することでしょう。筆者の独断と偏見に満ちた個人的な価値観では、もうちょっと出してマルチカラーを買った方が満足度高くなるよ、、と言いたいんですが、正直スルーしがたいお得感なのです。。もういっそのことこれも買っちゃおうよと毎年物欲がささやきかけてきます。。

まとめ

以上、THE INOUE BROTHERSのアルパカストールの紹介でした。冬の巻物って楽しいですよね。ぐるっと首に巻くだけで小顔効果が得られてコーディネートもまとまるし、色んな巻き方を試してみるのも楽しいし。それだけについつい色々欲しくなってしまうんですが、もうね、首は一本しかないのに数を増やしても仕方ないので、こういった高品質なものを買って長く使いたいなとつくづく思います。

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